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 中国の習近平(シーチンピン)国家主席が21日からアフリカ諸国を巡っている。訪問先はセネガル、ルワンダ、南アフリカ、モーリシャスの4カ国だ。自らが提唱する「一帯一路」(シルクロード経済圏構想)によるインフラ整備や圧倒的な資金力をてこに支持を集め、国際社会での発言権を高めたい考えだ。

 最初の訪問先となった西アフリカのセネガル。国営新華社通信によると、習氏は21日のサル大統領との首脳会談で、「『一帯一路』の協力文書に署名する西アフリカ最初の国になることを歓迎する」とたたえ、協力関係をアピールした。サル氏も「中国は今、国際社会でますます重要な役割を果たしている。アフリカの平和と発展に対する中国の貢献を高く評価したい」と持ち上げた。サル氏は会談後、習氏に最高栄誉勲章を授与した。

 今回のアフリカ諸国歴訪は、習氏が今春、国家主席に再選されてから最初の外遊となる。9月には北京で中国アフリカ協力フォーラムの会議も予定され、アフリカ重視の姿勢が際立つ。

中国、途上国との連携強化

 今回の訪問先からは、政治的な思惑ものぞく。

 セネガルは1996年に台湾と外交関係を結んで中国と断交したが、2005年に国交を回復した。ロイター通信などによると、中国は昨年だけで1億ドル(約110億円)を投資し、両国間の貿易額は約23億ドル(約2530億円)に上った。またルワンダのカガメ大統領は今年のアフリカ連合の議長で、存在感を増している。

 習指導部は「中国の特色ある大国外交」を提唱。発展途上国との連携を強化し、欧米主導の国際社会の勢力図を塗り替える戦略を描く。国の数が多いアフリカは主要な対象地域だ。

 元外交官で、シンクタンク「盤古智庫」の劉友法・高級研究員は「アフリカ諸国は貿易や投資、技術の支援が得られ、中国経済にとってもアフリカの発展は役立つ。それにアフリカ諸国とは、先進国との間にある(領土や貿易などの)利益の衝突がない。国連のような一国一票の場では、アフリカ諸国の政治的影響力の助けを借りることができる」と語る。

巨額融資、負の側面に指摘も

 経済発展を目指すアフリカ諸国にとっても、中国との関係強化は重要だ。

 アフリカ諸国が中国から受けた融資額は00~15年に計約940億ドル(約10兆3400億円)。多くの国は中国資本で空港や鉄道、道路といったインフラ整備を進め、国民に実績をアピールしてきた。発電所事業で融資を受けるマラウイの財務相は「中国以外に融資してくれるところはなかった」と感謝する。

 南アでは、2月まで大統領だったズマ氏が中国との関係を重視した。このため、日本政府関係者によると、政府要人との面会や国際会議の開催をめぐって日本より中国が優遇されてきたという。ブルキナファソは5月、台湾と断交し、中国と国交を締結。事前に中国側から巨額の資金提供が持ちかけられたと言われている。

 一方で、中国との関係強化によって安価な中国製品が出回るようになり、現地企業の成長に支障が出るなどの負の面も指摘されている。アフリカ東部のある政府関係者は「中国だけに依存し過ぎるのは良くない」と漏らす。(北京=延与光貞、ヨハネスブルク=石原孝