[PR]

 未婚や配偶者との死別などで単身世帯が増えています。私たちはどのように生き、備えればいいのでしょうか。識者にヒントを聞きました。

エッセイスト・酒井順子さん

 2003年に「負け犬の遠吠(とおぼ)え」を出版しました。「30代以上・未婚・子ナシ」を「負け犬」と位置づけたところ、驚くほど大きな反響がありました。強がっていても、本音では、結婚へのプレッシャーを感じている女性が多かったからだと思います。

 15年たち、統計上、単身世帯が増えてきましたが、底流にある結婚したいという「願望」は変わっていないと思います。20代で婚活に熱心に取り組む人がいるのも、早めにパートナーを見つけて、落ち着きたいという気持ちがあるからではないでしょうか。

 男女雇用機会均等法ができ、女性の社会進出が進みました。経済力もつき、養ってもらうための結婚をしなくてもよくなった。そして、男女共働きが当たり前の時代になりました。

 一方で、「一家の大黒柱は男性だ」という意識は世間に根強く残っています。経済力がない男性との結婚をちゅうちょする女性は多い。男性も、女性を養わないといけなくなると重く感じ、結婚に踏み切れない人もいるでしょう。

 また、男女ともに、人との関わりを面倒に思ったり、恋愛で傷つくことを避けたりする傾向にあると思います。

 私も30代は恋愛面では迷走期。どうせならひとりの時間を有効に使おうと、仕事に打ち込み、旅にもせっせと出かけたり、友人と外出したりしていました。

 だけれども、人生においては、旅も友人との食事会も、「イベント」であり、日常にはならない。年をとるにつれ、日常の部分、つまりベースにしっかりと色をぬりたくなってきました。

 自分のためではなく、誰かの役に立ちたいという気持ちも強くなりました。やってあげたり、やってもらったりすることに、心の落ち着きを求めていたのだと思います。

 女性は、国の将来のために早く結婚して子どもを産め、という発言をよく聞きます。女性ばかりの問題にするのは間違っています。本音がぽろりと出てしまうのでしょう。あきれを通り越して、笑ってしまいます。

 私は縁あって40代を目前にしてパートナーに出会い、一緒に住んでいますが、結婚はしていません。相手に期待し過ぎず、頼り過ぎずという関係ですが、11年の東日本大震災や肉親を亡くしたとき、パートナーのありがたみを感じました。婚姻関係の有無を問わない様々な形の家族がこれからは増えていくと思います。

 もちろん、またひとりに戻る可能性もあるでしょう。どちらが先に逝くのかも分かりません。だから仕事はできるだけ続けたい。健康のためにはスポーツも。さらに、学生時代からの友人や「負け犬」時代に共に励まし合った女性たちとの友情やネットワークも大切にしています。(聞き手・山内深紗子)

     ◇

 さかい・じゅんこ 1966年生まれ。高校在学中から雑誌にコラムを発表。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆専業となる。著書に「負け犬の遠吠え」(講談社文庫)、「子の無い人生」(KADOKAWA)、「百年の女―『婦人公論』が見た大正、昭和、平成」(中央公論新社)など多数。