84年ぶり夏出場めざす高松、決勝進出 終盤に粘り発揮

添田樹紀
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(21日、高校野球香川大会準決勝 高松7―6観音寺一)

 八回表2死三塁、一打勝ち越しの場面。高松の8番打者で捕手の石田公平(3年)は、フルカウントから連続ファウルで食らいついた。

 伝令が走った。監督の指示は「いつか甘い球がくる。待て」。さらに3球をファウルで粘る。11球目。詰まりながらも左前に落とし、この日の初安打は値千金の勝ち越し打になった。

 これまで、終盤の粘りが流れを引き寄せてきた。シードの高松商に挑んだ3回戦。九回に同点を狙った自らのスクイズは、二塁走者もかえって逆転になった。準々決勝は九回、4四死球に乗じ、3点差をひっくり返してサヨナラ。同じく下位の7番打者、土田悠介(3年)は3試合で4打点をたたき出した。

 100回を数える夏の全国大会には、戦前の高松中時代に第1回大会を含めて4回出場し、2度ベスト4入りした。だが、夏の選手権には、1934年を最後に84年遠ざかっている。やはりこの日も、リードを許したまま終盤を迎えていた。

 八回は2死一、三塁から、自分の一つ前の土田がフルカウントから左中間に2点三塁打を放ち、同点に追いついた。チームでは、「あいつが打ったら乗る」と言われている。

 熱を帯びるスタンド。ベンチの監督、石田茂登は、周りが見えなくなっていた打席の息子に気づいていた。「バッティングの軸がぶれていた」。伝令を送ったのは、息子を落ち着かせるためだ。

 その息子は「相手投手の焦りが見えてきた」と振り返る。決勝点の背景には、17年間をともに過ごし、選手としての自分もよく知る父の助言があったからなのかもしれない。

 直後の八回裏には、相手の二盗を阻むなど落ち着いたプレーを続けた。入部当初から1人も欠けていないという3年生は19人。その団結力と粘りで歴史に挑む。(添田樹紀)