[PR]

 「下克上」の流れは、止まらなかった。第100回全国高校野球選手権記念三重大会は21日、4球場で3回戦8試合があり、8強が決まった。ノーシードの白山が第3シードの菰野に競り勝ち、39年ぶりの準々決勝進出。8強に残ったシード校は、いなべ総合だけとなった。海星も2015年代表の津商を破った。松阪、松阪商、四日市、皇学館、暁も勝った。22日は2球場で準々決勝4試合がある。

全力の一球、消えた夢 菰野・田中法彦投手

 同点の九回表2死、菰野のエース田中法彦投手(3年)は右翼席に吸い込まれる打球をじっと見つめた。「頭の中が真っ白になった。もう何も考えられなかった」

 この回、菰野は白山の二盗を刺して2死無走者とし、ピンチを切り抜けたように見えた。「三振を取りにいく」。3番打者に全力で投げた外角直球。少し浮いたところにアーチを描かれ、勝ち越された。

 1点を追う九回裏無死一、三塁。「打って返す」。4番に座る田中投手に打順が回った。だが、強い当たりは三塁手のグラブに収まるライナーとなった。

 田中投手はこの試合、1点リードの七回から登板した。「調子は悪くなかった。気持ちの準備もできていた」。持ち味はプロ野球のスカウトも注目する豪速球。七回1死二、三塁では、自身最速の152キロでねじ伏せ、ほえた。

 だが、相手はノーシードからの「下克上」を狙う白山。「相手の応援にのまれて、手先のコントロールができなかった」。八回表、暴投や四死球で1死満塁。7番打者を打たせて取ろうと放った直球が、予想以上に飛ばされ、走者一掃の逆転打を許した。

 田中投手は菰野出身の兄2人にあこがれて、同じ野球部に入った。2歳上の長兄・大輔さんには、帽子のつばに「夢」と書いてもらった。「甲子園出場は兄2人の夢でもある」

 3年間目指した夢は終わった。「自分が打たれて負けた。みんなと甲子園に行きたかった。一振りで試合が終わった。1球の重みを感じた」。進路は「プロ野球一本」と宣言。カクテル光線に照らされたスタジアムで夢の続きが待っている。(甲斐江里子)

こんなニュースも