[PR]

 第100回全国高校野球選手権記念長野大会は22日、松本市野球場で決勝があり、佐久長聖が4―3で上田西を破って優勝し、2年ぶり8回目の夏の甲子園出場を決めた。全国大会は8月2日に組み合わせ抽選会があり、同5日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で始まる。

仲間の思い乗せ決勝打 佐久長聖・樋口選手

 最初のストライクを絶対に振る、と決めていた。仲間や家族の思いをバットに乗せて――。

 終盤の七回裏。2点差を追いつき、なおも2死二塁の好機。佐久長聖の樋口塁大(るい)(3年)が放った打球はぐんぐん伸びて、上田西の中堅手の頭の上を越えた。勝ち越しの適時三塁打。三塁に滑り込み、何度も拳を振り上げた。優勝を大きく引き寄せた瞬間だった。

 平たんな道のりではなかった。長野大会のベンチ入りメンバーの上限が20人なのに対し、3年生だけで66人の大所帯。レギュラー争いは激しかった。2年生だった昨夏の長野大会、現主将の真銅龍平や、4番を打つ西藤慶人ら同学年が、チームの主力として活躍する姿を、スタンドから見守った。

 「誰よりも練習して、自分で自信をつけるしかない」。納得いくまでバットを振り、走り込みを重ねた。「あのしんどい練習を思えば、試合の2、3時間は乗り切れる」。そう言い切れるほどの粘り強さを身につけた。3年生になった今年の春、念願の公式戦スタメン入りを果たした。

 地元の大阪府から、親元を離れて寮生活。両親は、遠く離れた実家から、公式戦には必ず足を運んで見に来てくれた。レギュラー入りできない日々は、母との毎日のLINEのやりとりが支えだった。出場機会がなかった準決勝の試合後も、「明日(の決勝)はチャンスが来るから、やってきたことを信じて」と励ましてくれた。

 今夏は、昨夏4番を打った鈴木大河(3年)と左翼手のポジションを争う形に。決勝でも、準々決勝から3試合続けてベンチスタートだったが、「チャンスが来たら必ず結果を出そう」と、悔しさを抑え、試合中もベンチ裏でバットを振って準備した。

 そして、上田西を追いかける展開で、七回の守備から途中出場。決勝打となった場面は、真銅や西藤ら、昨夏の決勝で敗れ、ベンチで泣き崩れた悔しさを持つ仲間たちがつないでくれた好機だった。

 「もう、夢のようです。苦しいことの方が多かったけど、最後に報われた」。試合後、仲間の胴上げで宙を舞った。

 今年の佐久長聖で、ベンチ入りメンバーから外れた3年生は49人。樋口は試合後、朝4時半から打撃投手などで練習をサポートしてくれた仲間たちに感謝した。そして、「メンバー外の仲間たちのためにも、甲子園で勝たなきゃいけない」と誓った。(大野択生)

こんなニュースも