[PR]

 アルゼンチン・ブエノスアイレスでの主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は22日午後(日本時間23日未明)、共同声明を採択して閉幕した。自国優先の通商、通貨政策を志向する米国と他国の立場が対立し、G20の結束が懸念されたが、共同声明ではひとまず保護主義への対抗姿勢などを再確認した。

 G20は深刻な分裂を回避したが、トランプ米大統領はこれまでもG20の合意に関わらず高関税措置を繰り返しており、実効性は不透明だ。

 今回のG20会議は、7月初めに米国が中国に高関税措置を発動し、中国の報復で貿易摩擦が激化して最初の会合で、21日から2日間の日程で開かれた。議論ではほぼ全ての国が貿易摩擦への懸念を表明し、米国と対立する立場を取った。

 共同声明では、保護主義と対決し、自由貿易を尊重する従来の声明の表現をほぼ踏襲した。さらに貿易問題について「リスクを緩和し、信頼を高めるための対話や行動を強める必要性を認識する」との表現を新たに盛り込んだ。「保護主義と闘う」との共同声明を採択した昨年7月のG20ハンブルク首脳会議(サミット)での合意も「再確認する」とした。さらに貿易や投資は、成長や生産性、雇用創出などの「重要なエンジン」だと確認し合った。

 一方、「グローバル・インバランス」(世界経済の不均衡)を、「下方リスク」だとも明記した。日本や中国が過剰貯蓄の一方、米国が過剰消費で貿易赤字を抱える構造を指した表現で、米国の貿易赤字への不満に配慮した面もありそうだ。

 ムニューシン米財務長官は閉幕後の会見で「すべての会合で貿易問題が中心だったわけではない」「疎外感は感じなかった」と強調した。麻生太郎財務相は会見で「(貿易赤字を)何とかしたいというのは分かる」と米国の立場に理解を示す一方、「(米国が志向するように)二国間だけで(貿易赤字削減は)簡単にいく話ではない。全体でマルチで話をしないとできない」と指摘した。日本が来年のG20議長国を担うこともあり、G20の枠組みの有効性を訴えた。

 麻生太郎財務相とムニューシン氏は個別に会談。麻生氏は、米国の鉄鋼・アルミ関税や、検討される自動車への関税について、日本に悪影響が出かねないとの懸念を伝えた模様だ。イラン制裁については、「日本の懸念が払拭(ふっしょく)されることを期待する」と伝えた。

 今回の会議では、直前にトランプ大統領が突然、欧州や中国が通貨安に誘導していると批判。通貨問題にも注目が集まった。これについても共同声明では、「通貨の競争的切り下げを回避する」とした3月のG20会合の内容を「再確認する」とした。

 米国の金融緩和縮小による利上げで、新興国通貨から金利が上がった米ドルに資金が流出している問題について、声明では「市場の過度の変動、資本の流れの反転といった課題にいまだ直面している」とした。(ブエノスアイレス=福山亜希、青山直篤、福田直之)

G20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明の要旨

・世界経済の成長は強固だが、足並みをそろえた成長が失われつつあり、短期から中期にかけ貿易やグローバル・インバランス(世界経済の不均衡)などの下方リスクは増大

・多くの新興市場国は(米の利上げなど)外部条件への準備が前より整っているが、資本の流れの反転に直面

・国際貿易や投資は成長の重要なエンジン。リスクを緩和し、信頼を高めるための対話や行動を強める必要性を認識。経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる

・低所得国が借金を返せなくなる問題について、引き続き懸念をもって注視

・暗号資産(仮想通貨)は、今は世界の金融システムの安定にリスクをもたらしていないが、引き続き監視を継続