若いころに読んだ秋田の旅行記が忘れられない。たとえば盆踊りの描写。「くるりと背を向けたとき、女のうなじを流れる汗が炎にてらてらと光った」とあった。かがり火が闇夜に浮かび、あちらの路地、こちらの角から踊り手がゆらゆらと現れたのだろう。
旅はどこか夢に似ている。
秋田県北部の旧鷹巣(たかのす)町(北秋田市)。午前6時、東の空は白々としていた。この町はかつて舟運や木材業、養蚕業でにぎわったという。「ブルン、ブルン」。やがてエンジン音を震わせたディーゼル車が入ってきた。阿仁合駅からの上り一番列車だ。ドアが開き、大勢の高校生が降りてきた。
のどかな里山をトコトコ走る秋田内陸線。クマやウサギなどの狩猟で生計を立てていた「マタギ」の集落や、美肌になれるといわれる温泉もある。「ゆっくりゆっくり心がほどけ、ちょっぴり優しい気持ちになれるのです」。内陸線を運営する第三セクター「秋田内陸縦貫鉄道」社長の吉田裕幸さん(55)は沿線の魅力を紹介する。
国鉄阿仁合線(鷹ノ巣―比立内…
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朝日新聞社会部