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試合後の龍谷大平安ロッカーに、原田英彦監督の野太い声が響いた。

 「お前たち最高だぜ!」

 選手たちが、拳を突き上げ、「おー!」と返す。今大会、龍谷大平安の新たな試合後の「儀式」となりそうだ。

 今春の選抜に出場した乙訓との準々決勝。打線が好投手の川畑大地(3年)を序盤から攻略した。「狙いは外角のストレート1本」と原田監督。二回に相手の失策絡みで1点を先制すると、三回は3番松本渉(3年)と4番松田憲之朗(3年)の連続長打で加点。五回には8本の安打で一挙8点を奪い、11―0(五回コールド)で圧倒した。

 「おれはこの夏、壊れるからな」。原田監督が選手にこんな宣言をしたのは大会前のことだった。厳しいことで知られる監督だが、近年は「時代が時代。叱るだけでは今の子どもたちはついてこない」と感じていた。

 筋骨隆々。58歳となった今でもベンチプレスは100キロ以上を挙げ、選手たちよりも「いかつい」監督が、得点を重ねるたび、笑顔で選手たちを「グータッチ」で迎える。最初は戸惑っていた選手たちも、今では監督と一緒に盛り上がる。

 「お前たち最高だぜ!」は、21―0で勝利した4回戦の試合後、突然、ディズニー好きの監督が言い出した。東京ディズニーシーのアトラクション「タートル・トーク」で、ウミガメのクラッシュが客に向けて言うセリフだ。選手のほとんどは知らず、主将の松田だけが小さい声で「おー」と反応したという。

 「最初はびっくりしました。でも、チームの状態がそれだけいいということだと思う。監督が笑ってくれると、自分たちもやりやすい」と松田。2回戦から4戦連続のコールド勝ちと、雰囲気は最高潮だ。

 春の選抜、夏の選手権を合わせて、99勝。「100回大会で100勝目」が平安の合言葉。試合後、「この夏は絶対に譲れない」と、3回、4回と繰り返した原田監督。選手を信じ、ほほえみながら、100回目の夏を戦っている。=わかさ京都(山口史朗