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 2018年度の最低賃金(時給)の引き上げ額について、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は25日未明、全国の加重平均で26円上げるべきだとの目安をまとめた。比較できる02年度以降で最大の引き上げ額で、実現すれば全国平均は874円になる。引き上げ率は3%となり、3年連続で政権の目標通りに決着した。

 安倍政権は16年6月に閣議決定した「1億総活躍プラン」で、賃上げによる消費活性化やデフレ脱却を目指すため、最低賃金を毎年3%程度上げていき、1千円にする目標を掲げた。昨年3月に決定した「働き方改革実行計画」でも同じ方針を確認。こうした意向を背景に、16、17年度は25円ずつ引き上げられ、それぞれ引き上げ率3%を確保してきた。

 今年も政権は、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で同様の方針を盛り込み、引き上げ額の目安を決める審議会にも理解を求めてきた。小委員会の議論では、経営者側が「中小企業の経営は厳しい」と連続での大幅引き上げに反対した一方、生活水準を底上げしたい労働者側は引き上げを強く要求。最終的に引き上げ率は、政権の意向に沿った形となった。

 最低賃金は、企業が働き手に支払わないといけない最低限の賃金。労使の代表と、有識者ら公益委員で議論して毎年見直し、引き上げ額の目安を示す。

 物価や所得水準などの指標をもとに都道府県をA~Dのランクに分けており、ランクごとの目安額が示された。東京など大都市部のAランクは27円、Bは26円、Cは25円、Dは23円。今後、この目安を参考に都道府県ごとの実際の引き上げ額が決まり、秋以降に改定される。(村上晃一)

政権の目標通り

 2018年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安が、全国加重平均で26円になり、引き上げ率は3年連続で安倍政権の目標通り「3%」になった。中小企業がどの程度の賃上げ負担に耐えられるかをめぐり、労使の意見は割れたが、最終的に今年も政権の姿勢に沿った決着になった。

 安倍政権は16年に最低賃金を年3%程度引き上げる目標を掲げ、首相自ら関係閣僚に指示。それまで審議会が示す引き上げの目安は、中小企業の賃上げ実績に沿って約1~2%だったが、16年からは3%になった。今年も労使の溝はあったが、3%に落ち着いた。

 いまの最低賃金は全国平均848円と、1千円を超す先進国が多い中で水準は低い。政府は毎年3%程度上げ、全国平均1千円にする目標を掲げる。今のペースが続けば、23年度には目標を達成することになる。

 厚生労働省の調査では、民間企業で最低賃金水準で働く人は約5%、中小企業に限れば1割いる。最低賃金の引き上げはこうした働き手を助けるとともに、低所得層の賃上げへの波及効果もある。一方、中小企業の負担増を指摘する声も根強い。中小企業の業況判断指数は前期比マイナス、賃金上昇率は1%台が続く。

 今月19日にあった各地の商工会議所会頭と厚労相との懇談会では、「中小企業の賃上げは、業績が改善していない中(人手を確保するため)やむを得ずの防衛的な賃上げ。最賃の3%引き上げは大きな影響がある」(横浜商工会議所の上野孝会頭)との声が出た。

 公正取引委員会が「下請けいじめ」などで指導した件数は17年度、過去最多の6752件になった。大企業と中小企業との取引条件の見直しを進め、中小企業が賃金を払う力を高める環境づくりも課題になる。(土屋亮、加藤裕則)