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 全国高校野球選手権記念群馬大会で、球児たちの熱い戦いの舞台となる上毛新聞敷島球場(前橋市)を支える若き「職人」がいる。習得した技術とこだわりで球児たちの活躍の場を日々整える。

 グラウンド整備の責任者を務めている新井悠司さん(29)。大会期間中は早朝6時ごろ球場に入り、芝生の伸びや土の乾燥具合を確認する。天候に合わせて内野の土の硬さを調整することもある。「選手のけがや打球のイレギュラーバウンドが気がかりなんです」

 新井さんも元球児。富岡高校時代は投手だったが、3年の最後の大会は背番号10の伝令役だった。肩をけがして選手を諦め、大学からはマネジャーに。社会人になっても「大好きな野球に携わっていたい」と独立リーグ・群馬ダイヤモンドペガサスなどのスタッフを務めた。

 キーパーになって5年。熱心な仕事ぶりは高校野球関係者にも評判だ。

 土をならすトンボの使い方一つにもこだわりがある。漫然と一列で一方向に進むのではだめ。試合中の選手の動きに応じ、土がたまりやすい場所を重点的にならす。4年前に夏の甲子園での研修で学んだ。

 高校野球は時間との勝負だ。試合の五回終了後や九回終了後の5~10分の限られた時間で土をならし、白線を引き、水をまく。多い日は1日3試合。急な雨に悩まされることもある。「夏は負けたら終わりの試合。なるべく朝の一番いいときと同じ状態でどの試合もプレーできるように心がけています」と手は抜かない。

 シーズンオフの毎年2月にはプロ野球・巨人の宮崎キャンプにグラウンドキーパーとして参加。キャンプ地では最新の機械や整備方法などを学ぶ。他球場のキーパーとも情報交換できる貴重な機会だ。

 ただ、優れているとされる球場と同じ土や芝にしても、良くなるとは限らない。その土地の気候や球場の用途などとの相性も大切だ。「100点はない」と試行錯誤しながら、常に最良の状態を追い求める。

 敷島球場では年2回ほど、プロ野球の公式戦も開催される。グラウンドの状態も開催地を決める基準になるため、気は抜けない。選手がプレーに適さないと感じれば、球場の評価は下がってしまう。試合に出た選手に直接話を聞き、助言を求める。

 目指すは選手がプレーしやすいと1番に名前を挙げる地方球場にすることだ。群馬大会も残すはあと2日。24日は準決勝で、25日に決勝を迎える。「この球場で野球ができて良かったと思ってもらえたら最高ですね」(森岡航平)