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 地球温暖化への悪影響が指摘される石炭火力発電への投融資を厳しくする動きが、大手銀行の間で出始めた。海外を中心に高まる石炭火力への批判へ配慮を迫られた格好だ。ただ、日本政府は石炭火力を推進しており、大幅な方針転換は簡単ではない。

 「新規融資は国や地域を問わず、超々臨界やそれ以上の高効率の案件に限定する」。三井住友銀行は6月、石炭火力への融資を厳しくする指針を公表した。従来の石炭火力よりも二酸化炭素の排出量が少ない「超々臨界圧」方式でなければ原則、融資をしないという。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)も5月、石炭火力について「国際的状況を十分に認識した上で、ファイナンスの可否を慎重に検討」するなどとした新たな指針を邦銀として初めて公表。みずほFGは6月、石炭火力向け投融資について、「同じようなエネルギー効率を持つ、実行可能な技術」で代替できないか、厳しく審査するとした指針を公表した。

 3メガバンクグループは、この新指針を今後も定期的に見直し、さらなる厳格化も検討する。

 背景には、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を受けた動きがある。欧米を中心に、投融資を二酸化炭素の排出が多い石炭火力から、再生可能エネルギーへ移す金融機関が相次いでいる。欧米に比べて目立って石炭火力への融資が多いとされる日本勢も無視できなくなっている。

 ただ、日本では政府が今月決めた新しいエネルギー基本計画で石炭火力を「基幹電源」と位置づけており、メガバンクは「完全脱却」を打ち出しづらい事情もある。

 三井住友の新たな指針には、「日本政府の支援が確認できる場合」などについては例外扱いをする、との一文が入った。政府系の国際協力銀行などとの協調融資ならば、効率の劣る石炭火力への融資も可能だ。

 国際NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」など6団体は共同声明で、こうした例外扱いについて「大きな抜け穴となりうる可能性があり、この方針自体の意義を無効化しかねず、気候変動対策として評価できない」などと批判する。

 元三菱銀行取締役で、外務省の気候変動に関する有識者会合の座長を務める末吉竹二郎氏は、「石炭火力融資を続け、環境意識の低い銀行だと国際的に見られれば、格付けが下がったり、投資家から敬遠されたりといったリスクを今後は負うことを邦銀は認識する必要がある」と指摘する。(榊原謙、福山亜希、柴田秀並)