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 サッカーのドイツ代表MFでトルコ系のメスト・エジル(29)が22日、民族差別的な扱いに抗議して、突然、代表引退を表明した。自身のツイッターに英語で長文の声明を出し、「民族差別と軽蔑を感じ、これ以上ドイツ代表でプレーしない」と記した。

 エジルはW杯ロシア大会前の5月、同じトルコ系のドイツ代表と共にトルコのエルドアン大統領と面会。その写真が公開され、エルドアン氏の強権的な政治手法に批判的なドイツ国民から反感を買った。エジルは「写真に政治的な意図はなかった。家族の出身国の最高職位者への敬意」と説明したが、6月のトルコ大統領選の直前で、政治的に利用された面は否めない。

 ドイツ代表は連覇を狙ったW杯ロシア大会で屈辱的な1次リーグ敗退。14年ブラジル大会で優勝の原動力だったエジルは一転、低調なパフォーマンスとチームに不協和音をもたらしたとして「戦犯」扱いされた。

 エジルの批判の矛先は、擁護する姿勢がなかったドイツサッカー連盟のグリンデル会長に向いた。声明で、会長が過去に「多文化主義は神話で虚像だ」と発言したことに触れ、「彼の無能さのスケープゴートになるのはまっぴらだ」「会長や彼の取り巻きから見れば、試合に勝てば僕はドイツ人で、負ければ移民だ」と記した。

 これを受け、トルコのギュル司法相は「ファシズムの病原体にゴールを決めたエジルを祝福する」、カサップオール青年スポーツ相は「同胞であるエジルの威厳のある態度を心の底から支持する」とツイッターで投稿した。(稲垣康介、其山史晃)