2016年8月8日午後3時。NHKや在京民放5社のテレビ画面が、一斉に同じ映像に切り替わった。スーツ姿の天皇陛下がゆっくりと一礼し、手にした原稿を読み上げ始める。

 〈次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。〉

 約11分間のビデオメッセージ。当時82歳。自身の健康状態を語り、退位への思いを強くにじませた。

 陛下が最初に周囲に退位の意向を示したのは10年の7月。相談役である宮内庁参与や同庁長官らとの会議だった。だが出席者らは退位に消極的で、首相官邸周辺には「退位を認めれば皇位継承に天皇の意思を介在させることになる」との指摘もあり、事態が動かないまま歳月が流れた。

 この間、陛下は12年に心臓のバイパス手術を受けた。式典で所作を誤るなど身体の衰えも目立ちはじめた。退位への思いを深める陛下の意向を汲(く)み、宮内庁は官邸側に、15年12月の誕生日会見での「お気持ち表明」を提案した。世論を味方に付け、事態を動かす狙いがあった。だが官邸は「時期尚早」と退けた。

 膠着(こうちゃく)は16年7…

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