記者が見た西日本豪雨(広島・JR芸備線)

多くの命を奪った豪雨災害から約1カ月。被災地で取材を重ねてきた記者たちの思いは。

 激しい雨がやんで数日が経つのに、川は濁り、ごう音を立てていた。レールが下流側に大きく曲がり、残った橋げたには巨大な流木が突き刺さっていた。

 鉄橋が崩落したJR芸備線の現場を初めて訪れたのは、7月12日だった。

【動画】JR西日本、豪雨の影響で各地で寸断=7月11日、依知川和大撮影

 4月に広島に着任した記者(24)は、鉄道旅が趣味だ。広島市と県北部をつなぐのどかなローカル線は前から気になっていた。

 約2週間後に再び訪れると、川は穏やかな流れに戻っていた。でも、橋は無残な姿のまま、夏の強い日差しを浴びていた。

 「自然の力には、たまげたよ」。鉄橋脇に住む中野隆吉さん(70)は振り返る。7月6日の夜8時ごろ。自宅にいると「ゴトーン!」というすさまじい音を聞いた。「雷かな」と思ってベランダから外を見ると、濁流が鉄橋をのみ込んでいた。30分ほどして再び見ると、鉄橋は無くなっていた。「芸備線は、わしらみんなの足。特に年寄りには大事な移動手段なんよ」

 7月23日には広島市内の一部区間で運転を再開した。しかし、あちこちで線路に土砂が流入するなどして、県北部の主要都市の三次市や庄原市に続く鉄路の復旧には1年以上かかるという。具体的な費用やスケジュールなどもまだ見えない。過去には、災害で運休しそのまま廃線になってしまったローカル線もある。

 「いつまででも待つけぇ、絶対に復旧してほしい」。切実に語る中野さんの姿が目に浮かぶ。一日も早い復旧を願っている。(高橋俊成)