[PR]

記者が見た西日本豪雨(愛媛・宇和島)

多くの命を奪った豪雨災害から約1カ月。被災地で取材を重ねてきた記者たちの思いは。

 11人の死者を出した愛媛県宇和島市吉田町。リアス式海岸の入り組んだ海沿いの道をたどると、宇和海に沈む夕日がミカン山を照らす。豪雨は緑色の山肌をはぎ取るように土砂災害を起こし、崩落の跡が幾筋も残る。

 7月7日夜、宇和島市中心部に到着したが、吉田町に向かう国道56号は通行止めだった。解除された8日午前、吉田町に入った。

2018年7月9日
2018年7月27日

 現場は川の氾濫(はんらん)による浸水と土砂崩れという二重の恐怖に直面していた。土砂に襲われた家屋では、救助活動が続いていた。

 避難所で知人男性を見つけて「自宅は大丈夫でしたか」と聞くと、「うん。ボランティアに来た。浄水場が土砂にやられ、水が出るまで1カ月以上かかりそうだ」。県内の被災地で8月まで断水が続いたのは宇和島市のみ。水が使えないので土砂の除去が進まず、沢で洗濯する住民もいた。代替の浄水施設は急ピッチで工事が進んだ。

 愛媛県は全国有数のミカンの産地。中でも吉田町は江戸時代にミカンが移植された「愛媛みかん発祥の地」とされる。被災者が入居できる「みなし仮設住宅」の申込窓口で、ミカン農家の薬師寺満吉さん(41)に会った。自宅は浸水し、約2ヘクタールのミカン畑の一部や農道、橋は崩れた。県によると市内では7月24日現在、柑橘(かんきつ)の栽培地計約128ヘクタールで土砂災害が起きた。それでも薬師寺さんは言う。「手放す園地も出てくるかもしれないが、再生できる所は頑張って、ミカンを作り続ける」(佐藤英法)