【動画】西日本豪雨で冠水した福岡県久留米市の住宅街=堀英治撮影
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記者が見た西日本豪雨(福岡・久留米)

多くの命を奪った豪雨災害から約1カ月。被災地で取材を重ねてきた記者たちの思いは。

 7月6日午後、雨は激しさを増した。夜になり、福岡県久留米市にある朝日新聞久留米支局に自治会役員から電話がかかってきた。「筑後川が氾濫(はんらん)する恐れがあるので、避難所に行くか、2階で寝てください」

 午後8時40分ごろ、筑後川の片ノ瀬水位観測所が氾濫危険水位に達していた。

 その4時間ほど前、隣の小郡市のショッピングセンターが浸水しているとの情報を受けて、車で向かった。数百メートルを走るだけで1時間かかる大渋滞に、断念したばかりだった。

2018年7月7日
2018年7月27日

 夜が明けて、支流が氾濫した地区にたどり着くと、眼前には大海原のような光景が広がっていた。近くに住む女性(65)が「ここは田畑よ」と教えてくれた。

 小郡市のショッピングセンター近くに住む女性(67)は「自宅を1メートル以上かさ上げしている。そのまま建てて浸水した新築の家もあったけど。川の恐ろしさを知らなかったんだろうね」と話してくれた。

 1953年の西日本大水害では、氾濫した筑後川の流域で147人が犠牲になったが、今回は筑後川はあふれず、犠牲者はゼロ。久留米市内では約1700棟が浸水し、炎天下の片付けに市民は苦労をしたが、水は引き、街は2週間ほどで平静を取り戻した。

 だが、もし九州最大の筑後川が氾濫していたらどうなったのか、と思う。簡単に逃げられたのか、危険を察知する情報を得られたのか――。問い続けることが、次の災害の備えになると改めて感じている。(倉富竜太)