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 佐賀大会は25日、みどりの森県営球場(佐賀市)で決勝があった。佐賀商はエース木村颯太投手の力投と、好機を確実にものにする攻撃で、2年前の決勝では敗れた唐津商を5―2で破り優勝。10年ぶり16回目の夏の選手権出場を果たした。甲子園は8月5日に開幕する。

心を強く、頼れるエースに 佐賀商・木村颯太主将

 3―1とリードして迎えた八回表、好投を続けてきた佐賀商のエース木村颯太主将(3年)は適時打を打たれ、1点差に詰め寄られた。ここまでの5試合中、4試合をコールド勝ちしている唐津商が勢いづく。

 「昔の自分ならここで崩れていたな」。冷静な自分がいた。焦りはない。「打たれるものか」と、口にはめたマウスピースをかみしめ、思い切り腕を振った。

 木村君は2年の夏もエースとして投げ、このときは3回戦で敗退。新チームで主将になったが、士気は下がっているように感じた。嫌われたくなくて強く言えず、「主将に向いていないのか」と思うこともあった。

 前主将に相談すると「前を向いてやるしかない。もっとがつがつ言えばいい」。決心し、メンバーと一対一で向き合い、根気よく対話を続けた。

 捕手の本嶋大暉君(同)は「木村は1年で変わった」と明かす。バッテリーを組み始めたころの木村君は怒りっぽいところがあり、「やっていけるのか」と不安になることもあった。だが、今は常に笑顔を絶やさない、そして頼りがいのある主将になった。

 今春から新たなメンタルトレーニングも開始。木村君は目標をみんなの前で話すことで度胸がついていった。森田剛史監督が「木村という大きな幼虫がさなぎになり、蝶(ちょう)になってほしい」と望み、挑んだ大会だった。

 一塁走者がかえれば同点という場面で、5番打者に投げた球は「今までと気合が違った」(本嶋君)。三振を奪うと、投げ終わった勢いでぴょんと体を弾ませ、小走りでベンチへ向かった。

 そして迎えた九回も2死。最後の打者が放った打球はワンバウンドして頭上へ。ジャンプして捕り、送球が一塁手のグラブに収まったのを見届けると、右手を突き上げ、さらに両手を広げて集まってくる仲間と抱き合った。今大会注目の好投手に「プレッシャーから解き放たれた」という笑顔があふれた。(中西皇光)

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