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 激戦を制し、100回目の夏をつかんだのは羽黒だった。第100回全国高校野球選手権記念山形大会(朝日新聞社、県高野連主催)第11日。25日の決勝戦で鶴岡東を破り、15年ぶり2回目の出場を決めた。全国大会は8月5日に開幕する。

1年から正捕手、初のうれし涙 羽黒・秋保優大主将

 時が、止まったような気がした。

 延長十一回裏。羽黒の竹内大貴選手(3年)の打球が右翼席に飛び込むのを見ても、ベンチにいた秋保優大主将(3年)は一瞬、何が起きたか理解が追いつかなかった。「周りが泣いているのを見て、勝ったんだ、と思った」

 笑顔になって、右手を突き上げ、ベンチを飛び出した。

 「1年前も、2年前も、悔しい思いだけだった。応援してくれた先輩たちに、やっと恩返しができた」

 1年生から正捕手を任されてきた。最初の夏は、3回戦敗退。2回目は準々決勝で敗れた。「来年があるんだから、頑張れ」。先輩たちから「次の夏」を託されるたび、「今年、勝ちたかった」と涙を流した。

 「うまい先輩はもっといるのに、自分なんかが正捕手でいいのかな」と家族にこぼしたことも。でも、「結果で返すしかない」と思い直した。

 決勝では、ショートバウンドした球を体に当てながら捕球。ピンチと感じると、投手に駆けよった。「投手の力を一番引き出せるのは秋保。苦しい時も、試合の流れを読んで、チームを落ち着かせてくれる」と小泉泰典監督は言う。

 打たれても、取り返せる。でも、あせって流れを渡すのはだめだ。夏は、ミス一つで崩れる。冷静に、冷静に――。「今までの経験と悔しさが、生きたと思う」。追いつかれても、走者を出しても変わらずミットを構え、得点を許さなかった。

 サヨナラ本塁打でゲームセット。秋保選手は、ダイヤモンドを1周して本塁に戻ってきた竹内選手に駆け寄り、歓喜の輪に加わった。

 3回目の夏。悔し涙を流し続けた正捕手は、整列すると、初めてのうれし涙をぬぐった。=山形県野球場(青山絵美)

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