「承認撤回」に沖縄の市民は 歓声の一方、複雑な心境も

伊藤和行、上遠野郷
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 国と沖縄県の対立が続く米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題をめぐり、翁長雄志(おながたけし)知事が27日、埋め立て承認の「撤回」に向けた手続きに踏み出した。辺野古の反対運動の現場では歓迎の声が上がる一方、普天間周辺では複雑な心境を見せる住民もいた。

 移設工事が続く名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、この日も早朝から抗議活動があった。現場では翁長氏の記者会見の音声がスピーカーで流され、集まった反対派約30人は「やったー」などと歓声を上げた。

 名護市の玉城健二さん(70)は「待ちに待った撤回だ。やっと工事を止められる」と喜んだ。商船会社を定年退職後の2014年、翁長氏が「辺野古移設反対」を掲げて知事選に初当選した。玉城さんも「世界中で沖縄ほどきれいな海はない。私も黙ってられない」と、辺野古へ通い始めたという。

 この日もゲート前には砕石や建設資材を運ぶダンプカーが列を作り、座り込みは10分も経たないうちに県警機動隊に排除された。それでも玉城さんは「知事も頑張っている。我々もあきらめない」と話した。

 普天間飛行場を抱える宜野湾市。市役所を訪れていた会社員上原恭子さん(36)は「貴重な自然を壊してほしくない」と翁長氏の判断を評価した。基地は早くなくなってほしいが、そのために美しい海を壊すのは反対だという。「県外や国外に移転してくれるなら大歓迎だが、なぜ狭い沖縄の中で基地をたらい回しにするのか。翁長さんは頑張って、沖縄の声をもう一度全国に訴えてほしい」

 一方、基地の北側に住む無職男性(66)は「返還合意から20年以上経っているのに、また返還が遅れるのでは」と心配する。基地に隣接し、去年12月、米軍ヘリが校庭に窓を落とす事故を起こした普天間第二小学校に孫2人が通う。「詳しいことがわかるまで気が気でなかった。あんな思いはもう嫌です」と振り返り、「子どもたちの安全も大切。今の普天間飛行場をどうやって閉鎖するのかについても、知事は道筋を示してほしい」と話した。(伊藤和行、上遠野郷)