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 松江城(松江市殿町)の天守内部のリニューアル作業が終わった。展示物の総重量を約5分の1に減らして耐震性を向上させたほか、要所に多言語表記のパネルを設置し、2015年に国宝指定を受けた天守の特徴や歴史的価値を伝える工夫を凝らした。登閣料も値上げし、大規模改修に備える。

 松江市観光施設課によると、年々増え続けていた天守内部の展示物のほとんどを、今年2~3月に搬出。運び出した総量は最終的に約19・5トンに上った。6月からは、そのうちの一部と解説パネルなど計約4トンを運び入れ、7月末に最終的な作業を終えたという。

 リニューアルにあたり、1階に展示された天守古材は初の常設展示。松江城を築城した堀尾氏が出雲国で最初に入城した月山富田城(安来市広瀬町)から運ばれたと推測できる「富」の字が彫られた刻印などが残り、城の築城過程を知る上で貴重な資料だという。

 また天守の特徴を解説したパネルも新たに設置した。

 例えば、天守の2、3階をつなぐ階段付近などで見られる「通し柱」は、松江城の建築的特徴の一つ。2階分を貫く通し柱を各階に交互に配置することで大規模天守の建築を可能にした。こうした築城技術は、その後の城郭建築にも受け継がれており、3階のパネルで詳しく紹介している。

 照明は、自然光に近いLEDに全面的に交換した。部材を傷めないよう、照明機材の固定に釘は1本も使わずベルトで固定した。

 リニューアルに合わせ、8月から登閣料が大人560円から670円に。城を所有する市は約30年後の大規模改修を想定し、約40億円と見込まれる費用のうち、国の補助などを除いた14億円程度の積み立てに充てたいとしている。

 市観光施設課の山本伸弥課長は「天守そのものの価値をより分かってもらえる展示になったと思う。貴重な天守を大切に守っていきたい」と話している。(長田豊)

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