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 28日から29日にかけて静岡県内に接近した強い台風12号は県内でも各地で被害をもたらした。29日までに判明した分で強風や高波で6人が負傷した。また悪天候の富士山で遭難した男性1人が死亡した。

 県によると、河津町では強風で転倒した女性(39)が右腕を骨折。熱海市では「ホテルニューアカオ」で高波により割れたガラスで、宿泊客4人と従業員1人が負傷。同市東海岸町の「ホテルリゾーピア熱海」では、堤防を乗り越えた高波で1階の一部や駐車場が浸水し、宿泊客らの車約20台が流されたという。

 県内では、静岡市内の2万9282世帯に避難勧告が出され、県内21市町の全域で避難準備と高齢者の退避開始が発令されたが、29日午前6時半までにすべて解除された。中部電力によると強風による倒木などのため最大で約3万5千世帯が停電し、29日午後7時ごろまでにすべて復旧した。

 悪天候の富士山では1人が遭難し、死亡した。28日午後1時40分ごろ、富士山御殿場口の6合目付近で静岡県の業務委託を受けた「富士山安全誘導員」の男性2人から「強風で歩けなくなった」と119番通報があった。

 御殿場署や県によると、2人は県警山岳救助隊と合流して5合目まで下山したが、午後10時20分ごろに富士宮市大岩のアルバイト西方義典さん(71)の容体が急変。約2時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。署によると、死因は低体温症とみられる。

 県によると西方さんは県に委託された警備会社の従業員で、27日未明から山頂付近で登山客の誘導やマナー啓発を担当し、28日午前10時に勤務を終えた。午後1時~2時ごろから下山する予定だったが台風のため予定を早め、午前11時45分ごろに山頂を出発したという。県によると誘導員の制度は2015年度に始まり、今回が初めての死亡事故だという。(矢吹孝文)