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 県が繰り返し「なかった」と説明していた資料が見つかった。旧優生保護法下で障害などを理由に行われた強制不妊手術について、手術を実施または決定した36人が特定できる資料が県庁にあった。県は資料の存在を昨年には確認していたが、庁内の情報共有不足で遅れたと説明した。

 個人が特定できる記載が見つかったのは資料①「公衆衛生(1955年度)」と、資料②「優生保護審査会(65年)」の資料内で計36人。いずれも県文書センターから見つかった。

 県では総務課が文書管理、健康増進課が旧優生保護法を所管している。

 なぜ公表が遅れたのか。県の説明によると、昨年9月と11月、外部から旧優生保護法に関する資料の閲覧申請があった。このとき、資料①、②の存在を確認したが、総務課職員らが「秘匿性の高い個人情報」を含むとして閲覧対象から削除してしまった。このため、今年に入り旧優生保護法が社会問題化したあとも発見できなかったという。

 県議会6月定例会での質疑や、厚生労働省からの調査依頼などを機に総務課が庁内で聞き取り調査をしたところ、「削除」の経緯が判明し、資料は7月2日に発見された。

 しかし、すぐに担当の健康増進課への報告はしておらず、同課が7月19日の県議会厚生常任委員会で「資料は確認されていない」と答弁した同日夕方まで連絡はずれ込んだ。

 県が謝罪の記者会見を開いて公表したのは、さらに8日たった27日夜だった。丸田勉総務課長は職員が閲覧対象から削除したことについて「把握していなかった。本来ならば個人情報の部分は黒塗りにして閲覧対象のままにしておくべきだった」とし、一連の対応については「調査が不十分だった」と謝罪した。

 健康増進課も閲覧請求の際に当該資料を職員が確認していたが、「社会問題化する前だったので課内で情報共有できていなかった」と説明した。

 県は健康増進課(0985・44・2621)で相談に応じ、家族や本人から希望があれば情報提供する。(小出大貴)