一見きれいな東京湾、極小ごみの脅威 貝の体内から検出

写真・文 諫山卓弥
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 波穏やかな東京湾。一見きれいな海面にも、潮や風の影響でごみがたまる一角がある。清掃船が回収すると、貯蔵スペースはペットボトルなどで埋まった。

 今、砕けて小さくなったプラスチックごみが世界の海を汚染している。「マイクロプラスチック」と呼ばれ、一般的に直径5ミリ以下のものを指す。ペットボトルの破片、衣服の化学繊維、プラスチック製品の原料「レジンペレット」など様々な種類があり、陸上から川を通じ、海へ流れる。

 東京農工大の高田秀重教授は、魚やプランクトンが飲み込み消化管を傷つけたり、化学物質が生物の体内に蓄積されたりする可能性を指摘する。山形県の海岸で採取されたサンプルには色も大きさも様々なマイクロプラスチックが含まれ、東京湾で採取したムラサキイガイの体内からも、繊維状のマイクロプラスチックが見つかった。

 プラスチックごみを減らす動きは始まっており、6月にカナダで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、使い捨てプラスチックの使用削減などを掲げる「海洋プラスチック憲章」が採択された。しかし、日本と米国は署名を見送っている。

 一方で、米国のコーヒーチェーン大手・スターバックスは7月9日、2020年までに世界の全店でプラスチック製ストローの提供をやめると発表した。

 高田教授は「対策としては、プラスチックの再利用や、自然の中で分解される製品の開発などが考えられる。しかし、一番大切なのは使用量を減らし、『蛇口を閉める』ことです」と話す。(写真・文 諫山卓弥

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