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 京都大は30日、ヒトのiPS細胞からつくった神経細胞を、パーキンソン病の患者の脳に移植する臨床試験(治験)を8月1日から始めると発表した。対象となる患者は、薬物治療では症状が十分にコントロールできなくなりつつある50~60代の7人で、1人目の移植は京大病院が年内にも実施する。

 iPS細胞からつくった細胞を実際の患者に移植するのは、理化学研究所などのチームによる目、大阪大のチームによる心臓に続き国内で3例目。パーキンソン病では世界初となる。

 京大は6月4日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出した治験計画が受理され、今月24日に学内で認められた。治験は公的医療保険を適用した治療にするために必要な手続き。理研や大阪大などが行う「臨床研究」より実用化に近い。iPS由来の細胞を移植する治験は今回が初めて。

 パーキンソン病は、ドーパミンという物質をつくる脳内の神経細胞が減少し、手足の震えや体が動きにくくなるといった症状が出る。厚生労働省の調査で、国内に16万人の患者がいるとされる。高齢化とともに患者は増えている。

 京大によると、移植に使うiPS細胞は患者の細胞からつくるのではなく、同大iPS細胞研究所があらかじめ第三者の細胞からつくったものを使う。ドーパミンを産生する神経のもととなる細胞をつくり、手術で患者の頭部に開けた直径12ミリの穴から、特殊な注射針を使って脳に移植する。

 ヒトのiPS細胞からつくった神経細胞をパーキンソン病のカニクイザルに移植した研究では、移植後2年間、行動を観察したところ、震えが減り、動ける時間が増えるなどの症状の改善がみられたという。拒絶反応を抑えるため、移植から1年間は免疫抑制剤も使用する。

 薬や、脳に電極を埋め込む治療などがあるが、根治療法ではない。薬は長期間使ううちに、効果が薄れてくる場合も多い。iPS細胞による細胞移植も、神経細胞の減少を抑えることはできず、患者が完全に健康な状態に戻るのは難しいとされる。ただ、治療の新たな選択肢として加われば、症状を改善させ、患者の生活の質(QOL)を上げるなどの効果が期待される。将来的に実用化された場合は、薬による治療などと組み合わせながら、使われていくことになりそうだ。

 患者や家族らでつくる「全国パーキンソン病友の会」は2013年から京大iPS細胞研究所に対し、計500万円を寄付してきた。患者だった妻を10年前に亡くした、代表理事の長谷川更正さん(83)は「現在はいろいろな治療法があるが、それでも十分でない患者も多くいる。iPS細胞に対する期待は大きく、『いよいよだ』という思いがある。治験に参加したいという声は多いが、治験の結果はまだ分からない。治験がうまくいって、一般的な医療となり、患者さんたちにすすめられる治療となってほしい」と期待を込める。

 大阪大の望月秀樹教授(神経内…

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