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 第100回全国高校野球選手権記念大会は、大阪桐蔭の2度目の春夏連覇で幕を閉じた。今年も大阪桐蔭の藤原恭大、根尾昂や、秋田・金足農業の吉田輝星ら新たな注目選手が多く生まれた。日本の球児が憧れる「甲子園」のような舞台が、野球母国の米国にもある。「トーナメント・オブ・スターズ(TOS)」。参加資格など形式は全く異なるが、米国籍の球児が憧れる大会だ。

 6月23日、米ノースカロライナ州ケーリー。気温33度で刺すような日差しのなか、ブレーブ対ユナイテッドの決勝戦が行われた。3点を追う四回、フロリダ州の高校に通うブレーブのリース・ハインズ選手が一時逆転となる満塁本塁打。高く舞い上がった打球が中堅左の柵を越えると、ベンチを飛び出してきた仲間から、本塁脇で手荒い祝福を受けた。試合はブレーブが14―8で優勝。チームは金メダルを手にし、笑顔で集合写真におさまった。

 年1度の開催、一プレーに喜ぶ姿。日本と変わらない面もあるが、趣は違う。総責任者で、米18歳以下(U18)男子代表のディレクターを務めるマット・ブラッド氏が「高校球児にとって最高舞台。ただ一番は逸材の発掘と評価」と話すように、目的はU18代表の1次選考だ。評価スタッフを編成し、選手の能力や試合結果だけでなく、練習姿勢やベンチでの態度までチェックする。

 もともとはU18代表プログラムの一環で、2001年から名称が「TOS」に変更。現在は招待された80選手に参加資格が与えられる。日程は練習日も含め約1週間で、4チームに分かれて総当たりの予選3試合と、決勝か3位決定戦の4試合をこなす。今年は00年以降に生まれた高校3年と2年生が対象で、決勝後には2次選考に進む43選手が発表された。最終メンバーは秋に決まる。

 全米州立高校協会(NFHS)によると、16~17年のシーズンで男子の野球プログラムに参加したのは1万5979校で、49万1790人という。全員が米国籍ではないとはいえ、その中の80選手となれば野球エリートだ。

 狭き門とあり、参加選手のモチベーションは高い。守備では内外野で飛びつくプレーが目立つ。攻撃でも、故障の可能性から大リーグでは推奨されない一塁へのヘッドスライディングをする選手もいた。また、有望な選手がそろうため、毎年大リーグ30球団のスカウトが集結。各球団にアピールできる絶好のチャンスだけに、1次で落ちた多くの選手が号泣した。

 最速156キロの直球を誇るブレナン・マローン投手は「高校球児全員が目指す特別な場所」。150キロ台を投げる投手兼一塁手で大学、プロで二刀流を目指すハンター・バーコ選手は、「このレベルに入れるだけでも名誉だ」と胸を張る。

 昨年のU18代表でコーチだったクリス・カーター氏は野球振興に貢献している大会とも力説する。「わずかな期間だが、生涯の友人にも出会える。選手たちには一生の思い出になる」(遠田寛生)

米のU18とTOS 

米国では1987年からU18代表プログラムを始め、ユース世代強化に力を入れてきた。U18ワールドカップは4連覇中で、昨年は、早実の清宮(現日本ハム)らがいた日本代表を破るなど、9戦全勝だった。過去のTOSには、ナ・リーグでサイ・ヤング賞3度のクレイトン・カーショー(ドジャース)や、デビューから7年連続2桁本塁打中のブライス・ハーパー(ナショナルズ)ら大リーグのスター選手も多く参加していた。TOSのブラッド氏によると、ア・リーグMVP2度のマイク・トラウト(エンゼルス)は早い段階で落選したといい、レベルの高さがうかがえる。