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 西日本豪雨の被災地の広島、岡山、愛媛の3県では、いまだ11人が行方不明となっている。「あの日」から、もうすぐ1カ月。家族や友人らは、何を思うのか――。

 「そろそろ休憩しよか」

 「お父さん休憩しすぎ」

 15人が犠牲となった広島県坂町小屋浦。1階に土砂が流入し、2階部分が大きく損壊した自宅の屋外にある物置で、高下(こうげ)幸子さん(49)の夫(54)と長女(22)が時に笑顔を見せながら、整理を進めていた。そこに、幸子さんの姿はない。

 7月6日夜、長女は幸子さんと2人で食卓を囲んでいた。自宅近くを流れる天地川(てんちがわ)の流れは激しさを増している。2人は避難しようと勝手口を開け、15メートルほど離れた高台の祖母宅に向かおうとした。

 その時――。

 濁流が川を越えて押し寄せ、2人をのみ込んだ。水中で長女は体ごとぐるぐると回転し、50メートルほど流された後、土砂の山に打ち上げられた。すぐに肩から下げていた懐中電灯で辺りを照らす。「お母さん!」。激しい雨の中、何度叫んでも、何も返ってはこない。

 目の前で姿を消した母。あの瞬間を、毎晩のように思い出す。「あのとき、母に手を伸ばすことが出来たんじゃないかって」。こんな思いにさいなまれ、1カ月近くがたつ。

 天地川の下流で幸子さんのズボンや靴が見つかった。自衛隊や消防は今も捜索を続けてくれている。

 一緒にお風呂に入り、耳かきをしてくれたこと。お手製の鶏がらスープがおいしかったこと。そんなに上手でもないのに地元のビーチボールバレーチームでプレーし、周囲を和ませていたこと……。

 「思い出の中の姿でいてほしい。だから見つからなくても」と思う一方で、「もし見つかれば、少しは区切りがつくんじゃないか」。思いは、揺れる。

 マンションに転居し、自宅は間…

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