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西日本豪雨1カ月

 《平田安子さん(96)=広島県府中市木野山町》 自宅1階で就寝中に裏山の土砂が流れ込んだ。一緒に暮らしていた長男の秀明さん(68)によると、初めに「ドン」という衝撃があり、安子さんの様子を見に行こうとしたが、部屋の扉が開かなくなっていた。すぐに2回目の衝撃があり、天井が落ちてきたという。

各地に大きな爪痕を残した西日本豪雨では15府県で225人が死亡、11人がなお行方不明となっている。最初に大雨特別警報が出て6日で1カ月。犠牲になった人たちのありし日の姿を、遺族や知人らへの取材をもとにたどった。

 安子さんは3年前に夫が他界するまで、夫婦で一緒にゲートボールや国内旅行を楽しんでいた。4世代同居で、中学2年と小学6年のひ孫をかわいがり、幼い頃の写真をいつも寝室に置いていた。

 秀明さんは「農作業や、茶わんの持ち方といった作法には厳しかったが、末っ子の自分を優しく育ててくれた。大丈夫かな、なんとか生きとってくれ、と祈っていたが……」と声を落とした。