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【アピタル+】患者を生きる・練習のしすぎ(オーバートレーニング症候群)

 過剰な練習を続けたことで、かえって運動能力が落ちて疲労が簡単には回復しなくなってしまう「オーバートレーニング症候群」。その特徴や対策について、同症候群に詳しい元国立スポーツ科学センター長の川原貴さんに聞きました。

オーバートレーニング症候群とは
過剰なトレーニングが長い期間続いたことで運動能力が落ち、疲労が簡単には回復しない状態。

――どんなことが原因で起こるのでしょうか。

 オーバートレーニング症候群になるパターンは主に三つに分けられます。一つ目は激しい練習が続いたり、試合が頻繁にあったりして過剰な負荷がかかること。二つ目は練習量は変わらないが、睡眠不足や、減量による栄養不足によって体の回復が妨げられること。三つ目はかぜなどで体の機能が落ち、回復していない状態で練習することです。かぜをきっかけに症状が顕在化するときもあります。たかがかぜと、甘くみない方がいいでしょう。練習熱心で休めない人がなりやすいので注意が必要です。

 

オーバートレーニング症候群の症状
軽症だと日常生活であまり自覚症状はないが、練習についていけなくなったり、記録が落ちたりする。症状が重くなるにつれ、動悸や息切れ、食欲の低下、手足のしびれ、立ちくらみ、微熱といった様々な症状が出てくる。重症になると、不眠や抑うつ、焦燥感といった精神的な症状もあらわれる。

写真・図版

――予防する上で大切なことは。

 まず、トレーニングは筋肉を壊し、体を消耗させる行為であり、その効果は運動後の回復過程で身につくことを理解するべきです。激しい練習をすれば1日ではなかなか回復しません。必ずトレーニングは回復がセットになって意味がある。そういう考え方を選手も指導者も身につける必要があります。

――対策はありますか。

 運動したときに体調が良いと感じるか悪いと感じるか、自覚症状は大切です。また、普段から脈拍や体重の変化を記録しておくとよいでしょう。練習量や競技の成績に応じて、どういう変化が起こり、どのくらいで回復するか把握しておくことが大切です。激しい練習をした翌朝の脈拍は速くなります。それが3日以上続くようなら練習内容を見直した方がいいでしょう。

――普段の練習で気をつける点は。

 同症候群は症状が軽ければ日常生活にあまり支障はありませんが、今までできていた練習についていけなくなったり、競技の成績が落ちたりします。練習内容はどうしても調子の良いときのイメージでタイム設定などをしがちですが、練習についていけないなどの時は、練習内容を軽くしたり、休養したりすることが大切です。しかし、少し休むとできることもあるので、周りからはさぼっているんじゃないかと思われることがあります。選手本人に加え、指導者の理解も大切になります。

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・スポーツ>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・土肥修一)