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 小6と中3が受ける全国学力調査の結果について、校長や教員の評価やボーナスの額に反映させる意向を大阪市の吉村洋文市長が示したことに対し、林芳正文部科学相は3日の記者会見で「調査で把握できるのは学力の一側面であることを踏まえ、適切に検討いただきたい」と述べ、市側に慎重な判断を求めた。

 吉村市長は2日の記者会見で、政令指定都市20市の中で平均正答率が2年連続で最下位だったことに「非常に危機感を感じている」と指摘。正答率の数値目標を設け、達成できたかどうかを校長や教員の評価に反映させる方針を示した。「結果に対して責任を負う制度に変える」「予算権をフルに使って意識改革をしたい」などと発言した。

 本来、学力調査は子どもたちの苦手な点を把握し、授業改善につなげることが目的だ。文部科学省は、各都道府県や政令指定都市ごとの平均正答率を公表しているものの「過度な競争が生じないようにすることが重要」と説明する。調査結果を教員評価に使った事例は「聞いたことがない」(学力調査室)という。

 地元からは反発の声が上がる。大阪市の中学校校長は「むちゃくちゃだ。大阪市で教員をやりたいと思う人がいなくなる」。これまでの学力調査で、保護者の収入や学歴が子の学力と強く関係していることが判明しており、校長は「学力を上げるのであれば、家庭での教育力を考える必要がある。教員に対する施策よりも、所得格差を埋めることが必要ではないか」と提案する。

 学力調査の専門家会議座長の耳塚寛明・お茶の水女子大教授(教育社会学)は「調査の趣旨を逸脱しており、学力の実態を把握する調査の役割がゆがめられる。結果には家庭や地域などの様々な要因が絡んでいる。ボーナスでやる気が高まるとも考えられない。教員評価に直接使うのは無謀だ」と批判する。(金子元希、根岸拓朗、編集委員・氏岡真弓