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 閉塞(へいそく)の時代に現れたオウム真理教は、戦前のオカルトからファシズムへの流れと重なり合いはしないか。政治学者の片山杜秀・慶応大教授が古今東西の本から読み解きます。

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 石川啄木が「時代閉塞(へいそく)の現状」を書いたのは1910(明治43)年。日露戦争の勝利で維新以来の右肩上がり志向も一段落し、若者は何をしていいか分からない。閉塞感が漂う。そこを啄木は敏感に論じた。

 オウム真理教はというと、高度経済成長も一段落した昭和の終わりに、やはり若者の鬱屈(うっくつ)を吸引して成長した。文明は行き詰まっている! 人間自体が変わらねば! 理性ではなく霊性や超能力を問題とした。

 実は啄木の活躍期も、千里眼や念写のブームと重なっていた。右翼革命家、北一輝が『国体論及び純正社会主義』(『北一輝思想集成』所収、書肆心水)を著したのは明治39年。そこで北は、天皇の霊性に照らされた日本人が人類から神類にすぐ進化しうると説いた。ダーウィンの進化論を応用した疑似科学的記述がいっぱい。大正に入ると世間では手かざしによる病気治療や特殊な食事による体質改善が流行した。閉塞と超能力の時代は明治末・大正期にもあった。

 だが、疑似科学はじきに見破られる。それでも似た真似(まね)を続けるとすれば「ごっこ」にならざるを得ない。『約束された場所で』は村上春樹によるオウム真理教関係者へのインタヴュー集。ある信者が語る。

 「それからコスモ・クリーナー…

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