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 熱中症の疑いによる全国の死者数が7月の1カ月間で124人に上り、2008年の集計開始以来、1カ月あたり最多となった。

 総務省消防庁のデータを読み解くと、高齢者が住居内で熱中症を発症する例が多い傾向が見て取れる。

 東京都板橋区に広がる住宅街の一角。アパート4階の部屋で7月21日、70代の夫婦が遺体で見つかった。クーラーは設置されていたが使われていなかった。

 警視庁志村署によると、亡くなったのはこの部屋に住み、事実婚の状態だった岩丸勝さん(74)と監物(けんもつ)教子(のりこ)さん(78)。部屋を管理する不動産業者から「夫婦をしばらく見ない」との通報を受け、署員が2人を発見した。熱中症によって体調を悪化させ、そのまま死に至ったとみられる。

 アパートに近い練馬区の観測地点では7月中旬は連日、最高気温が35度を超える猛暑日が続いていた。岩丸さんは12日にも熱中症とみられる症状が出ていた。

 不動産業者の男性によると、監物さんから「夫の具合が悪い」と連絡があったのはこの日の昼過ぎ。その後、監物さんが連れてきた岩丸さんは汗を流し、ほとんど歩けない状態だった。すぐに救急車を呼んだ。

 岩丸さんは快方に向かったが、クーラーを使用せず熱中症を発症していたことがわかった。再発しかねないと感じた男性はクーラーをつけるよう勧め、親族にも指摘しようとしたが連絡が取れなかったという。

 9日後、2人はクーラーをつけていない室内で遺体で見つかった。毎日のように仲良く食事などに出かけていた2人。男性は「今年の暑さは尋常じゃない。高齢の夫婦なので周囲がサポートできればよかったのだけど」と話した。

 板橋区では8月5日にも、夫婦とみられる高齢の男女が集合住宅の1室で死亡しているのが見つかっている。遺体の発見時に冷房は作動しておらず、夫婦は熱中症の疑いがあるという。(河崎優子)

温度上昇に気づきにくい

 「地域社会から孤立する高齢者らの世帯が、熱中症の犠牲になっている」。帝京大医学部付属病院(東京)の三宅康史・高度救命救急センター長は、こう警鐘を鳴らす。

 三宅さんによると、搬送時に亡くなっていた患者は何日も姿が見えず近所の人らが異変に気づいた、といったケースが多い。屋外でのスポーツや労働現場では対策が進み犠牲者が減るなか、近所づきあいの乏しい、高齢だったり疾患を抱えていたりする夫婦や親子のみの世帯は、異常が気づかれにくいという。

 そもそも高齢者は代謝が落ち寒…

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