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 日本と北朝鮮の外相が3日夜、国際会議が開かれているシンガポールで接触した。6月に安倍晋三首相が日朝首脳会談の実現に向けて調整を指示して以降、日朝の閣僚同士が言葉を交わすのは初めて。ただ、腹の探り合いは続いており、交渉の本格化は見通せない。

 複数の日朝関係筋によれば、北朝鮮側は、日本との正式な会談に関心を示していなかったという。北朝鮮のチョン・ソンイル元駐シンガポール大使は3日夜、日本との接触について尋ねる記者団に対して、明確な回答を避けた。

 3日付の労働新聞(電子版)も、日本が防衛予算を増額したことを強く非難した。ソウルの外交筋の一人は「北朝鮮にとって、今の日本は外交面で魅力がないのだろう」と語る。

 さらに北朝鮮は最近、日本人拉致問題をめぐる協議を拒む姿勢を鮮明にしている。金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長は、今春の米朝協議で、「拉致問題は終わった問題だ」と発言している。

 安倍首相は2月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪を機に韓国を訪れた金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長と接触し、日本人拉致被害者の帰国を訴えた。関係筋の一人によれば、接触のたびに拉致問題を取り上げる日本側に、北朝鮮側は不満を持っているという。

 この関係筋は「北朝鮮が行った拉致をめぐる様々な調査を、日本側が全て否定したことが響いているようだ」と語る。拉致被害者に関する決定的な証拠を日本がつかんでいないことも、北朝鮮の強気な姿勢につながっているとみられる。

 日朝外交を前に進める環境が整っていないと、北朝鮮が判断している可能性もある。

 金正恩党委員長の独裁体制下にある北朝鮮では、「最高指導者に失敗は許されない」(北朝鮮関係筋)とされる。2002年9月の日朝首脳会談に向けても、日本の外務省と北朝鮮国家安全保衛部の幹部が、約1年にわたって接触を重ねた。首脳会談自体は厳しい雰囲気のなかで行われたが、当時、小泉純一郎首相は、金正日(キムジョンイル)総書記を「委員長」と敬称で呼んだ。

 北朝鮮関係筋は「今後、首脳会談が開かれたとしても、安倍首相が一方的に非難して、正恩氏に恥をかかせるおそれもある。側近たちは粛清が恐ろしくて、会談の開催を提起する気持ちにさえならないのだろう」と話す。

 ただ、正恩氏は6月の米朝首脳会談などで、日朝首脳会談に前向きな考えを示した。韓国政府関係者は北朝鮮の思惑について、「経済発展に必要な多額の資金を得る相手は日本ぐらいしかないと分かっている」と指摘。米朝で核問題の協議が進めば、日朝協議も本格化するとの見通しを示した。(シンガポール=牧野愛博)

■日本「『会えませんでした』で…

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