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 「甲子園で前監督の『最後の夢』をかなえたい」

 益田東の大庭敏文監督(37)は、島根大会優勝を決めた松江市営野球場のグラウンドで、そう語った。

 前監督とは、昨年4月に59歳で急逝した三上隆志さん。14年前に監督を退いたあとは、亡くなるまで部長や総監督として、指導に携わり続けた。今の3年生が、直接指導を受けた最後の代になる。

 大庭監督は、益田東のOBで、三上さんの教え子だった。2004年に、22歳で三上さんから監督を継いだ。この時、三上さんから「自分には三つの夢がある」と聞かされた。

 「教え子に監督を継いでもらうこと」「(三上さんの母校)浜田高校を倒して甲子園に行くこと」。そして、「甲子園で益田東の校歌を聞くこと」。

 過去3回、甲子園に出場しているものの、「校歌」だけは歌えていない。益田東は、ずっと三上さんの夢をおいかけてきた。

 「物事は、できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」。それが三上さんの口癖だった。大庭監督は「めちゃめちゃ厳しい人だった」と振り返る。選手の忍耐力を鍛え、人間的に強くすることを大切にした。そして野球に対して、誰よりも情熱的だった。

 しかし、「監督を退いてからはずいぶん優しくなった」と、大庭監督には映った。監督が選手たちを厳しく叱責(しっせき)すると、「頑張っとるんじゃ」「疲れとるんじゃ」と選手らを擁護した。

 「三上先生の夢をかなえたい」。3年生の選手たちは口々にそう話す。

 内野手の住田智稀君(3年)は1年時、寮でよく体調を崩したが「三上先生がいつも看病してくれた」。肺炎で1週間ほど入院したときには、毎日病院に来て色々な話をしてくれた。「野球は戦争」とよく語っていたのを覚えている。

 益田東は7日、18年ぶりに挑む甲子園で、常葉大菊川(静岡)と対戦する。

 外野手の谷口哲也君(3年)は甲子園への意気込みを聞かれ、こう答えた。

 「甲子園で益田東の校歌を歌いたい。三上先生に聞こえるように、大きな声で」(浪間新太)

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