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 広島の原爆投下から6日で73年。東京都目黒区の五百羅漢寺では、公演のため広島に滞在中に原爆に遭い、9人が死亡した移動劇団「桜隊」の法要が行われた。約30人が参列し、原爆投下時刻の午前8時15分に黙禱(もくとう)した後、境内にある慰霊碑に手を合わせた。

 慰霊碑は1952年、団長だった丸山定夫を知る劇団関係者によって建てられた。75年からは有志らが「桜隊原爆忌の会」を結成し、法要に合わせて朗読劇や講演会などの「追悼会」を開いて悲劇を語り継いできた。しかし昨年以降、会長だった俳優座の神山寛さんら中心メンバーが相次いで死去。今年から追悼会は開催せず、資料整理に重点を置きながら新たな担い手を探すことにした。

 法要では、五百羅漢寺の日高秀敏代表役員が「73年経っても遺族の心の傷は癒えることはない。私たちには、広島の犠牲を後世に伝え、何年経とうとも事実を風化させず、このようなことを繰り返してはならないと訴えていく責務がある」と強調した。

 約30年、世話人事務局として会の運営に関わってきた詩人の近野十志夫さん(72)は、他のメンバーとともに法要に出席。「この会を絶対になくさないというのが、会長の強い遺志だった。核兵器廃絶だけでない、反戦など新たな切り口でもいい。若い人が好きな形で続けられるように、今後の活動の『炎』も演劇界に残せないだろうか」と訴えた。(吉野太一郎)