[PR]

 カーナビ大手のパイオニアが経営悪化に苦しんでいる。リーマン・ショック後の経営危機は、プラズマテレビなどから撤退し、カーナビに集中する戦略で乗り切った。しかしカーナビも低価格化や自動車の機能強化の波にのまれ、輝きを失いつつある。2019年3月期は9年ぶりに営業赤字になる見通しだ。

 パイオニアが6日発表した18年4~6月期決算は、自動車メーカー向けの音響機器の出荷が増え、売上高は前年同期比0・6%増の838億円だったが、営業損益は15億円の赤字(前年同期は2億円の赤字)、純損益は66億円の赤字(同20億円の赤字)だった。19年3月期通期も50億円の営業赤字を見込む。決算短信には、事業の継続に懸念があると認めて「継続企業の前提に重要な疑義が存在」との注記をつけた。

 同社のカーナビは市販品の国内シェアがトップクラスだが、他社の参入や安価な簡易型ナビの普及で価格競争が激化している。

 さらに自動車業界は、自動運転や通信機能を備えたコネクテッドカー(つながる車)の開発に向け、「100年に1度の大変革期」(トヨタ自動車の豊田章男社長)。納入先の自動車メーカーからは「自動運転や電動化などを理由に、追加の仕様変更が今までにないペースで来る」(パイオニア幹部)。開発費の負担は重くなっている。

 かつてのパイオニアは、世界に先駆けたセパレートステレオやプラズマテレビで知られた。しかし家電の低価格競争と08年のリーマン・ショックで、09年3月期に545億円の営業赤字を計上。10年にプラズマテレビから撤退した。15年には祖業の家庭用音響機器事業も売却した。

 残った柱のカーナビも苦しくなるなか、今年6月には10年ぶりのトップ交代で、森谷浩一常務が社長に昇格。車メーカー向け事業で他社との資本提携も視野に入れるが、森谷氏は6日の決算説明会では「いろんな可能性を模索している」と述べるにとどめた。

 カーナビと組み合わせたサービスにも力を入れ、自動運転向けの精度の高い地図情報の収益化をめざす。今秋に再建策をまとめて発表する。

 カーナビでは競合する他社も苦しい。クラリオンは今年1月、450人規模の人員削減を発表。富士通はカーナビ子会社をデンソーに売り、アルパインはアルプス電気と経営統合をめざすなど、生き残りをかけた再編が活発化している。(高橋諒子)