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 何点取られてもあきらめず、迫力ある攻撃で食らいついた――。6日、第100回全国高校野球選手権記念大会の初戦に臨んだ山梨学院は、高知商との壮絶な打ち合いの末に敗れ、2年ぶりの初戦突破はならなかった。力強い相手打線に投手陣が打ち込まれ、最大6点リードを奪われたが、最後まであきらめない積極的な攻撃を見せた。目が離せない一戦に観客からは大きな拍手が送られた。

信頼する仲間 存在に感謝 中尾勇介選手

 「中尾らしくないな。思い切り振ってこい」。五回、2点差に迫りなお1死満塁、打席に向かう4番の中尾勇介選手(3年)に吉田洸二監督が声をかけた。

 心の内を見透かされた気がした。一回に先制の適時内野安打を三塁に放ったが、本来のスイングではなかった。四回は空振り三振。山梨大会の打率6割を超え、昨夏も甲子園を経験した。「自分がやってやる」。力が入り、自分の打撃ができていなかった。

 「笑えよ」。2打席を終え、清水雄登主将(3年)からも硬くなっていることを指摘されていた。中学は同じチームで「清水投手」の球を受けた。バッテリーで進学し、主将と副主将に。ともに外野手になった。信頼する仲間の言葉に気持ちが楽になった。

 3球目、高めの直球を逆らわずにはじき返した。力みのないスイングでとらえた打球は、中堅手の頭上を越えてぐんぐん伸び、逆転満塁本塁打となった。三塁走者は清水主将。ベンチに戻り、思わず抱き合った。

 「大会通算1600号」となった一打は流れを引き寄せた。その裏の攻撃を三者凡退に打ち取り、六回の攻撃では1点を追加。しかし、相手打線は前評判通りだった。六回に3者連続の適時打で4点を奪われ逆転を許す。七回に2点を奪い、再び逆転するが、その裏に5連打などでみたび逆転を許した。

 何度も訪れるピンチの時、中堅の守備から左にいる右翼手の清水主将と目を合わせ、「大丈夫」と確かめ合った。相手の力強い打撃にも気持ちは切れず、「絶対逆転してやる」と逆に奮い立った。

 あと一歩及ばず、試合後、自然と涙が流れた。「ありがとう」。清水主将が声をかけてきた。自分こそ感謝の気持ちでいっぱいだった。「雄登はなくてはならない存在だった。今まで一緒にやってこられたことに感謝している」(市川由佳子)

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