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(6日、高校野球 沖学園4―2北照)

 ずっと隣で見てきた野球部のみんなのために、スタンドで声を張り上げた。

 一塁側のアルプス席には、赤いメガホンをたたきながら声援を送る北照高3年の尾池咲季さんの姿があった。北海道稚内市から小樽市の北照に進学して寮生活を送り、女子サッカー部のFWのレギュラーとして活躍している。寮には野球部員もいて、朝食と夕食は同じ食堂で一緒に食べている。

 毎日欠かさず寮の前で素振りをして、声がガラガラにかれるまで大声を張り上げて練習する野球部員に、心を打たれた。都合がつく試合は全てスタンドに駆けつけ、ベンチ外の野球部員たちと一緒に跳びはねながら声援を送った。

 いろんなことがあった。2016年秋には野球部内で暴力行為などの不祥事が相次いで発覚し、活動を停止。公式戦の出場も辞退した。当時、尾池さんたちは1年生。主将の三浦響が「俺たちの夏は、絶対に甲子園を決める」と真剣に話すのを、尾池さんも聞いていた。

 最後の夏。南北海道大会の前に、3年生部員と監督ら3人の指導者一人ひとりの名前が入ったお守りを29個作った。マネジャーでも何でもないけれど、「ケガするなよ」「暑さに負けるなよ」と、思いを込めて一つずつ手縫いした。部員たちは、かばんにお守りをつけて大会に挑んでくれて、5年ぶりの夏の甲子園を決めた。

 甲子園でも、選手がヒットを打つ度、ピンチをしのぐ度、跳びはねた。試合は2点差で惜敗したが、スタンドに向かってあいさつする選手たちに、笑顔で拍手を送った。「一生に一度の体験ができて、楽しかった。北海道に帰ったら、おい!お疲れ!って言います」。大粒の汗を光らせながら言った。

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