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 名古屋市のど真ん中を南北に走る久屋大通ではオープンカフェを使って歩道を有効活用している。欧米の事例にならって始まった試みだ。通りの中心部にはパリのエッフェル塔にも似た名古屋テレビ塔がそびえる。久屋大通は名古屋のシャンゼリゼ通りになれるだろうか。(日高奈緒

 名古屋市中心部の久屋大通の歩道に、椅子とテーブルがさりげなく置かれている。本来、歩道には往来を妨げないよう余計な物を置けないが、ここでは街づくり事業の一環として特別に許可されているという。

 7月下旬の昼下がり。猛暑がやや和らいだこの日、名古屋テレビ塔からほど近いホットドッグ店「ソーシーズ」の前に置かれたテーブルでは飲み物を片手にくつろぐ人たちがいた。市内在住の女性は「こうやって外でのんびりできると気持ちいいですね」。

 1987年から続くこの店では以前、歩道でこっそりオープンカフェを開いたことがあった。店長の小林幹生さん(52)は「木陰があってちょうど良いんです。でも警察に怒られてしまって」と話す。今はこの地区で実施されている「久屋大通オープンカフェ事業」に参加し、堂々とテーブルを並べられるようになった。

 都市政策論が専門の井沢知旦(ともかず)・名古屋学院大教授(65)が事業を仕掛けた。「名古屋には戦後にできた広い道路があり、他都市に比べて公共空間が多い。車を通すだけではもったいない」との思いがあった。

 パリやミラノ、米国西海岸でのオープンカフェ事情を調査し、97年に名古屋で開催された「世界都市景観会議」で久屋大通一帯でのオープンカフェを実施。評判を呼び、2000年からは期間限定で続いていたが、07年からは通年で開かれるようになった。歩道の占用を許可する名古屋市や地元警察と協議し、全国でも珍しい試みとなった。

 現在は16店舗が参加し、街の風景にもなじんできたが、課題はある。通行の妨げにならないようにするため、オープンカフェに座る客に対し、店員が料理や飲み物をお盆に載せて届けるのは禁止され、テーブルや椅子は閉店後にすべて片付けなくてはいけない。井沢教授は「パリには狭い歩道にもオープンカフェがあり、それが街の魅力の一つになっている。久屋大通に限らずもっと広がって欲しい」と話す。