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 国立天文台野辺山宇宙電波観測所(長野県南牧村)は来年6月から、中核施設の45メートル電波望遠鏡を使った観測を、東京都三鷹市の同天文台本部などからの遠隔操作に切り替える。天文台が取り組む大型プロジェクトに予算が優先的に配分され、十分な運営費が確保できないためで、職員も段階的に削減する。立松健一所長が明らかにした。

 同観測所は国内外の大学や研究者の共同利用観測所として設立され、1982年に完成した45メートル電波望遠鏡は巨大ブラックホールの発見などで大きな成果をあげてきた。観測所は共同利用を2022年3月まで続けたい考えだが、次世代の超大型望遠鏡建設などのあおりで、前倒しで打ち切られる可能性が出てきた。

 このため、観測態勢の見直しや運営経費の節減に乗り出すことになった。具体的には、来年6月から宿泊施設を備えた本館を閉鎖する。外部の研究者が泊まり込みで観測できなくなるため、研究者が東京の本部や内外の6大学から望遠鏡の向きなどを遠隔操作して観測する態勢に改める。年間約100人の外部研究者に支給してきた交通費補助も取りやめる。

 さらに観測所職員による研究者への観測支援を、24時間態勢から平日の日中のみに限定。現在37人いる職員についても段階的に減らし、22年に15人以下にすることも計画している。それでも、来年度予算で国から天文台への拠出金が大幅に減れば、共同利用の打ち切りが早まる懸念は残るとしている。

 立松所長は「厳しい財政事情の中、スクラップ・アンド・ビルドはやむを得ない面もある。ただ、45メートル望遠鏡は一線級の能力を備えており、何とか22年までは共同利用を続けたい」と話す。その後は、野辺山に残ったスタッフで国の科学研究費補助金(科研費)などを活用して観測を続け、データを各大学に提供したいとしている。(土屋弘)