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(7日、高校野球 近江7―3智弁和歌山)

 仕上げは背番号1だった。5点リードの九回、近江の左腕金城がマウンドへ。「他の投手が少ない失点で抑えてくれたので、智弁も怖くなかった」。智弁和歌山の反撃を1点にとどめ、振り返った。

 選抜準優勝校との対戦が決まってから、5日間。多賀監督は「うちの良さを最大限に出す」と策を練った。ポイントは智弁の長打力をどう封じるか。たどり着いたのは、林、金城の左腕2人で戦った選抜とは異なる大胆な継投策だった。

 先発は右横手の松岡。左投手を想定していた智弁の意表を突く。一回、高校通算49本塁打の3番・林は内角の直球で見逃し三振に。二回に2失点すると、すぐに林が救援。全く違う軌道のチェンジアップで智弁の勢いを止めた。その間、味方が逆転。1点リードの六回1死一、二塁では、佐合(さごう)にスイッチ。滋賀大会で5回参考記録ながら「完全試合」を達成した右腕が、140キロ超の直球でひざ元を突き、後続を断った。

 智弁の強打には甲子園の空気を変える力がある。選抜では東海大相模、創成館といった強豪も、その重圧に屈して逆転負け。だから「懐攻め」「低めへの意識」を徹底しつつ、右―左―右と目先を変えて翻弄(ほんろう)した。計10安打を浴びたが、長打は0本だった。

 多賀監督が「4人は初めて」という継投は、2001年の83回大会、「3本の矢」と呼ばれた継投をほうふつとさせる。あの夏、近江は準優勝。今夏、松岡の帽子のつばには、「4本の矢」と書かれている。(小俣勇貴