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岩手県立宮古高校(上)

心に響く音楽を

 2011年3月11日、マグニチュード9.0の巨大地震とそれにともなう津波が東日本を襲った。津波は恐ろしい力で岩手県の沿岸の宮古市にも押し寄せた。市北部の田老地区にあった「万里の長城」と呼ばれていた高さ約10メートルの防潮堤を乗り越え、市中心部でも大きな被害が出た。

 あれから約7年半が経とうとしている。街の再建は進み、震災の傷痕は徐々に消えつつあるように見える。高台には住宅街が作られ、海面からの高さ14.7メートル、長さ1.2キロという巨大な防潮堤が造られ、海沿いをぐるっと取り囲もうとしている。

 そんな中、田老地区に津波の被害を伝えるためにと宮古市が残した「たろう観光ホテル」は、1、2階部分の鉄骨がむき出しの姿で静かに立ち続ける。震災とその復興はまだ終わっていない、と語っているかのように。

     ♪

 宮古市の中心部に位置する岩手県立宮古高校は、津波の被害を免れた。敷地内には吹奏楽部のための独立した練習場があり、56人の部員たちが奏でるのびのびとした楽器の音が響いてくる。

 地区大会を突破して岩手県大会に挑もうとしている吹奏楽部を7月末に訪れた。練習しているのは課題曲《吹奏楽のための「ワルツ」》(高昌帥)と自由曲《歌劇「トゥーランドット」》(プッチーニ)だ。

 今年度の部長は、3年生でコントラバス担当の渡辺美乃里(みのり)。部内では「ノリスケ」という愛称で呼ばれている。ノリスケは眼鏡の奥の瞳で、顧問の佐藤允治(よしはる)の指揮を見つめながら一心不乱に弦を押さえ、弓を動かした。

 佐藤が新しい顧問としてやってきた昨年度、宮古高校は久しぶりに県大会を突破し、東北吹奏楽コンクールに出場した。結果は銅賞だった。ノリスケは、自分たちと東北代表になった3校や金賞受賞校との間に実力の差を感じた。その一方、今までテレビでしか観(み)たことがなかった全日本吹奏楽コンクール全国大会というものの影が初めてうっすらと見えた気がした。

 「まず、目標は東北大会金賞。…

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