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 東京医科大の入試で女子の合格者数を抑える得点操作が行われていた問題で、「#私たちは女性差別に怒っていい」というハッシュタグ(#)をつけたツイッター上の投稿への賛同が広がっている。「怒っていいことに気がついていなかった」「怒ってみようと思った」。これまで声を上げられずにいた女性たちの背中を、そっと押している。

 「怒りで泣きました」

 得点操作が行われていた疑いが、初めて報じられた今月2日。河出書房新社(東京都渋谷区)の公式アカウントの一つ、「河出書房新社 翻訳書」(@kawade_honyaku)が、ツイッターで「#私たちは女性差別に怒っていい」というハッシュタグをつけてツイートした。

 ツイートした女性は、3月に出版された「問題だらけの女性たち」(ジャッキー・フレミング著、松田青子訳)の編集を担当した。「男性がすべてにおいて優れていることは明白」(ダーウィン)、「女性の知能は発明や創造には向いていない」(ジョン・ラスキン)など、19世紀の英国で「科学的常識」とされていた言説を、皮肉とユーモアたっぷりに描いた絵本だ。「女性は医者になんて到底なれない劣った存在」だとして、排除されてきた歴史も描かれている。

 女性編集者は東京医科大の件を知り、「女性は『減点』をしてもいい存在なのだ、と突きつけられた気がした。冗談でもなく、このようなことが実際に起きた今、この自分の怒りを発信できないなら、何のためにこの本を出版したのかと思った」と振り返る。

 「女性たちは、大局で物事をとらえることや『現実を見る』ことを強いられて、目の前のパーソナルな怒りを抑圧されてきた。私たちは自分の感情をもっと尊重していい」。これまで女性差別への怒りにふたをせざるを得なかった人も一緒に声を上げましょう、という気持ちだったという。

「口をつぐんでいたら差別を容認」

 ツイートは8日までに約4千回リツイートされ、このハッシュタグに賛同する投稿が続々と上がっている。「就職活動で言われたのは『君が男だったら即採用なんだけどね』」「感情押し殺して、笑って受け流すことが女としてクールな対応を刷り込まれてた」「(女性差別が)あまりにも日常的で怒って良い事に気がついていなかった」……。

 ハッシュタグに背中を押され、抗議行動に参加した人もいる。

 都内の女性(32)は、3日に東京医大前であった抗議行動で「#私たちは女性差別に怒っていい」と書かれた紙を掲げた。抗議活動への参加は初めてだ。大学卒業後、派遣社員や契約社員として働いてきたが、正社員に登用されるのは男性が多いと感じる。「ツイッターを見て、『怒っていいよね?』と自問した。口をつぐんでいたら、差別を容認することになる。怒ってみようと思った」

 このハッシュタグを使い、ツイッターで複数回発信した評論家の勝部元気さん(35)は言う。「自己責任論が強い社会で、『自分が能力不足』『我慢すればいい』と思う女性は多い。苦しみ、声を出せない人たちに『怒っていい』というメッセージを送っている点に共感した。同じように感じている人が多いのではないか」(三島あずさ、山下知子)