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 デジタルの音楽機器が主流になった今でも、カセットテープの音質を高めるため、デッキの開発に技を磨いている技術者がいます。

ティアック音響機器事業部ハードウェア開発課 松本剛知さん(41)

 ピーッ。健康診断の聴力検査のような抑揚のない電気の流れる音を、試作中のカセットデッキのヘッドホン越しに聞く。神経を集中させると、プチッ。ごく小さな異音が聞こえた。探査用の針をデッキ内の電子回路に当てていく。「あっ、ここですね」。1分ほどで電圧の異常箇所を探し当てた。

 今から半世紀前の1968年に初の国産カセットデッキを開発した音響メーカー「ティアック」は、デジタル機器での録音や再生が主流になった今も、カセットデッキの開発に力を入れている。東京郊外の多摩市にある本社の仕事場は広さ2800平方メートル。天井が12メートルと高く、間仕切りがない中、社員の机が何列にも並ぶ。体育館のような開放感のある空間だが、試作中の一角には緊張感あふれる雰囲気が漂う。

 カセットデッキに携わった多く…

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