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(9日、高校野球 レジェンド始球式)

 この1球にかける。岡山東商OBの平松政次さんのそんな思いは約半世紀を経ても変わらなかった。山なりとはいえ、「投手が毎日練習する」という外角低めへストライク。「奇跡だね」。右腕を突き上げた。

 プロ野球大洋で18年間プレー。「カミソリシュート」を武器に201勝を挙げた名球会投手にとっても甲子園は特別な場所。今でも鮮明に覚えているのが「あの1球」だ。

 岡山東商で1965年の選抜大会に出場。初戦の1球目はど真ん中へのストライクだった。「心がスウッと落ち着いた」。39イニング無失点の大会記録で頂点に。春夏連覇を狙った、その夏の47回大会は初戦で敗れたが、「あの1球があったから優勝できたし、何としても夏も、という気持ちになった」。

 この日の1球。実は奇跡ではない。壁当てのほか現役時代に痛めた右肩に注射を打って臨んだ。「努力して精いっぱい戦って欲しい」。70歳の好々爺(こうこうや)から野球少年に贈るエールだ。

(10日は、江の川=現石見智翠館OBの谷繁元信さん)(鷹見正之)