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 全国高校野球選手権記念大会で、東愛知代表の愛産大三河は9日、横浜(南神奈川)と対戦し、0―7で敗退した。22年ぶり2回目の出場で、8強入りを目指したが、強豪の壁は厚かった。黄緑色に染まったアルプス席の大声援を受け、選手らは最後まで躍動した。

「指導者になって戻ってくる」 力投139球・松原絃介君

 九回表2死。マウンドに立つ主将の松原絃介君(3年)は、139球目の直球を横浜の斉藤大輝主将(3年)の内角に投げ込んだ。中飛に打ち取ると、表情は変えず小さくうなずいた。「逆転したい。裏の攻撃のことしか頭になかった」

 だが、愛産大三河は2死一塁としたものの、最後の打者の石原剣太君(2年)が遊ゴロに終わる。松原君はベンチで立ち尽くした。試合後、「チャンスがない試合じゃなかった。自分の力不足」と悔やんだ。

 1年生時から、チーム内で同学年をまとめるリーダー的な存在だった。昨秋の新チーム発足後、主将になってからは、桜井春生監督から練習方針も任されるなど、チーム内での信頼は厚い。今夏の東愛知大会も5試合に登板し、その背中でマウンドから仲間たちを鼓舞し続けてきた。

 この日の試合、横浜打線に3本塁打を含む計12安打を浴びたが、四回からは一度も連打を許さなかった。強打の横浜打線に大胆にもスローボールを投げ込むなど、持ち味の緩急とコースを意識した投球術で6三振を奪った。「ベンチで仲間が『まだ大丈夫、切り替えろ』と声をかけてくれた。気持ちが開き直った」

 打席でもチームを引っ張った。三回、四球で出塁すると二盗を決め、次打者の高橋大地君(3年)の遊ゴロの間に進塁し、チーム初の好機を演出した。試合中、苦しい展開も常にチームメートのために落ち着いた表情を崩さなかった。

 だが試合後、初めて涙を見せた。松原君の横でインタビューに答える桜井監督が「本当にいい主将。5年後は監督をして欲しい」と記者に答えたのを聞き、「スタンド、ベンチ、いい仲間たちと試合ができた。いつか指導する立場になってここに戻ってきたい」。赤い目をこすって笑った。(古庄暢)

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