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【アピタル+】患者を生きる・ぜんそく(運動誘発ぜんそく)

 激しい運動をきっかけに、せきや息苦しさなどの症状が現れる「運動誘発ぜんそく」。自分がぜんそくであることに気づかず、十分なパフォーマンスを発揮できていないアスリートも少なくないとみられています。アスリートのぜんそくに詳しい、新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センターの田中純太教授(53)に、診断や治療などについて聞きました。

 ――ぜんそくのアスリートを、どのような方法で見つけているのでしょうか。

 新潟県健康づくり・スポーツ医科学センター(新潟市)は2002年に、県内のアスリートの競技力を向上する目的などで設立されました。県の強化指定選手など、スキーをはじめとした様々な競技の選手が訪れて体力測定し、トレーニングの計画に生かしています。体力測定では強い負荷をかけるため、医師が必ずメディカルチェックをしているのですが、「自覚症状がなくても、ぜんそくと疑われるアスリートが潜在的に結構いるのではないか」と、問診を担当している新潟大学のグループで気が付き、積極的に見つけ出すようにしました。

 2000年のシドニー五輪で、ぜんそく治療薬の使用申請が出された割合が、米国選手団で約19%だったのに対し、日本は268人のうち1人だけでした。そうしたことからも、日本のアスリートにはぜんそくの患者が潜在的に多くいるのではと推測されます。

運動誘発ぜんそく
運動をすることで、ぜんそくの発作が出ること。元々ぜんそくの症状がある人が運動をきっかけに悪化させる場合だけでなく、普段は全く症状がないアスリートが、激しい運動をしたときにだけ症状が出ることもある。

写真・図版

 当センターでは問診の際に、「空気が冷たい時期などで走り終わったときに、せき込みや息切れが長く続くようなことはありませんか」と聞き、そのような症状があればぜんそくを疑います。体力測定の際に、マスクと心電図を付けてランニングマシンを疲れ切るまで走る運動負荷試験をしますが、走り終わったあとの呼吸機能検査で、機能が一定程度下がった場合にも、ぜんそくの疑いが濃厚です。

 ――選手がぜんそくとみられた場合には、どのように診断し、治療をしていますか。

 まず、センター内の専門外来を紹介し、詳しい検査をします。問診でぜんそくの既往歴などを確認するほか、呼吸器の検査をしたり、採血でアレルギーの体質について調べたりするなどして確定診断をします。

 ぜんそくの治療は、ステロイド薬や気管支拡張薬の吸入薬を処方するのが一般的です。ぜんそくのアスリートを積極的に見つけ出し、治療に結びつけている都道府県の施設は、全国的にも珍しいと思います。

 ――治療や予防で気を付けるポイントはありますか。

 治療薬の中には、世界アンチドーピング機構によって使用が禁止されている薬があるので、アスリートは注意が必要です。

 発作を予防するためには、ウォーミングアップを念入りにしたり、冷たい空気などから気道を保護するためにマスクをしたりすることなども有効です。普段からかぜをひかないように気をつける、水分を十分にとることも大切です。

 運動のあとにせきやたんがでる、胸が苦しくなる症状があるなど、「自分もひょっとしたらぜんそくかもしれない」と思った人は、呼吸器内科や小児科など、ぜんそくを治療している医療機関を受診してみてください。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・スポーツ>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・佐藤建仁)