【動画】1本で手軽に魚をさばける「サカナイフ」
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 「これ一本でどんな魚も簡単にさばける」との触れ込みの包丁を富山県の造型メーカーがつくり、売れ行きを伸ばしている。漁師を経験して魚離れに危機感を抱いた社長が、家庭でも手軽に魚をさばけるようにとクラウドファンディングで資金を集めて製作した。名づけて「サカナイフ」。

 開発したのはルアー販売などを手がける富山県射水市の「TAPP」。4月初めからホームページなどで税込み1万5098円で販売をはじめたところ、これまでに約1100本が売れた。ユーチューブで解説動画も配信している。

 丸山達平社長(42)がルアーづくりのために2年間漁師をした際、店で売れ残って捨てられる魚を見て、消費者の魚離れを感じたのがきっかけだ。

 「魚をさばけない人が増えてきたことが影響しているのでは」。手軽に魚をさばける包丁づくりを考え、従業員と試作を重ねて2年がかりで完成させた。

 1本の包丁に、①「うろこ取り」②三枚下ろしの目印を入れるための「J形の刃」③身をそぐ「R形の刃」④骨を切る「ノコギリ形の刃」を備える。

 品質にこだわり、岐阜県関市でさびに強い包丁を手がける刃物メーカーに製造を依頼。左右どちらが利き手でも使えるようにした。

 市場調査も兼ねて、昨年末から製作資金をインターネットのクラウドファンディングのサイトで募ったところ、わずか4時間で目標の50万円が集まった。さらに今春までに20~70代の約600人から700万円余りの資金が寄せられた。

 「子どもがさばけるようになった」と動画を送ってくれた人もいて、丸山さんは「家族で一緒に使う様子を想像しながらつくったので、達成感があった」と話す。総勢3人の小さなメーカーだが、「全国、世界に広めたい」と夢を抱く。

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 料理と無縁の生活を送ってきた人でも簡単にさばけるのか。丸山さんに手ほどきを受けながら、取材記者が「サカナイフ」でマダイの三枚下ろしに挑戦した。

 まずはうろこ取り。マダイは硬いウロコと鋭いヒレがあり、さばくのが手ごわい。サカナイフを上下に動かすと、ほとんど飛び散ることなく吸い付くようにうろこが取れていく。

 つぎに、背と腹に三枚下ろしのための目印を入れる。ナイフの刺し口と角度に少し苦戦したが、うまく刃が入って、カッターでビニールを裂くように、スーッと切れ目が入る。

 続いて、切れ目に入れた刃を動かすと、シールをはがすように身がはがれ、気持ちいいほど。開始から15分ほどで、あっけなく三枚下ろしができた。

 「またやりたい」。魚一匹をさばいた達成感に、自然とモチベーションが高まる。次は何をさばこうか。(竹田和博)