根岸拓朗
文部科学省は10日、全国の国公私立の小中学校や高校、幼稚園など1万2640校で安全性に問題のあるブロック塀が見つかったと発表した。塀の高さや補強の壁が国の基準を満たしていなかったり、老朽化したりしていた。このうち約8割の1万122校は撤去や注意喚起などの応急対策が済んでいるが、約2500校では終わっていない。文科省は同日、これらの学校についても速やかな安全対策を求める通知を出した。
6月18日の大阪北部地震で大阪府高槻市立小学校のブロック塀が倒れ、登校中の女児が亡くなった事故を受けて、文科省が調べていた。全国の国公私立学校計5万1085校について塀の安全点検を要請し、7月末までの状況をまとめた。
ブロック塀があると答えたのは1万9921校。外観の点検で、建築基準法施行令の定める「高さ2・2メートル以下」「補強の控え壁を設ける」などの基準を満たさなかったり、劣化したりしている塀が1万2640校にあった。都道府県別では、大阪府(1180校)が最も多く、東京都(778校)、福岡県(777校)、埼玉県(722校)と続いた。また、塀の有無の報告がなかったり、点検が終わっていなかったりする学校も963校あった。
危険なブロック塀が確認された学校のうち、1万122校では撤去や、近寄れなくするなどの対策をしたという。文科省は外観で問題なかった塀も、使い続ける場合は内部の鉄筋の状態の点検を求めている。ただ、点検に時間がかかるため、まだ終えていない学校が多いという。
1万2千校以上で危険なブロック塀が見つかったことについて、文科省の担当者は「これまで建物の耐震化を中心に進めてきて、学校設置者も文科省も(塀への)認識が不十分だった」と話した。今後、撤去費用を補助するための予算確保などを検討するという。(根岸拓朗)
学校数 応急対策済み
北海道 117 117
青森県 107 84
岩手県 37 29
宮城県 88 69
秋田県 84 50
山形県 83 83
福島県 205 191
茨城県 285 229
栃木県 173 137
群馬県 309 303
埼玉県 722 691
千葉県 612 578
東京都 778 505
神奈川県 283 235
新潟県 141 135
富山県 74 62
石川県 126 105
福井県 83 77
山梨県 96 78
長野県 56 49
岐阜県 98 98
静岡県 283 278
愛知県 389 376
三重県 218 218
滋賀県 86 69
京都府 389 220
大阪府 1180 802
兵庫県 708 669
奈良県 139 106
和歌山県 225 170
鳥取県 72 60
島根県 41 29
岡山県 296 119
広島県 277 214
山口県 326 326
徳島県 188 188
香川県 169 157
愛媛県 270 122
高知県 211 57
福岡県 777 707
佐賀県 103 72
長崎県 340 89
熊本県 253 181
大分県 173 161
宮崎県 195 154
鹿児島県 349 262
沖縄県 426 411
計 12640 10122
塀の外観の点検結果。国公私立の幼稚園や小中高校、特別支援学校などの合計
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