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 龍谷大平安は11日の甲子園初戦で、鳥取城北に3―2でサヨナラ勝ち。念願の春夏の甲子園での100勝を達成した。応援席には「V100」の人文字ができ、総立ちで選手を迎えた。次戦は15日。第4試合で八戸学院光星(青森)と対戦する。

土壇場臆せず 二盗、三盗 水谷 祥平君

 九回裏2死二塁。四球で出塁し、二盗を決めた1番打者の水谷祥平君(2年)は、三塁とバッテリーを見つめていた。「勝負球だったら捕手の送球が遅れるはず」。次打者の安井大貴君のカウントは、2ボール2ストライク。ためらわず三塁へ走った。

 「やめろー」。スタンドから悲鳴が上がった。塁審が両手を広げて「セーフ」と叫んだ。スタンドから「うおおおー」という大歓声が響いた。練習試合も含め、三盗に挑んだこと自体が初めてだった。

 安井君はその直後の直球を振り抜いた。打球は左翼線へ。水谷君は振り向くことなく本塁へ。次打者席で松本渉(しょう)君がガッツポーズをしていた。本塁を駆け抜けた後、跳びはねて喜んだ。

 水谷君は出塁した一、三回、投手のフォームを観察していた。原田英彦監督からは「絶対に行けるときにだけやれよ」と言われていて、二盗も三盗もベンチのサインなしだった。

 50メートル走は6・3秒。足の速さはチーム内で5番目くらいだ。「盗塁は苦手ではないが、得意でもない」と自覚している。盗塁の練習中、監督から「どんくさいな」と言われることも多かった。

 土壇場。いつもなら臆してしまうが、この日は違った。10日夜、帽子のつば裏に「最高の夏に暴れろ」と書き入れていた。試合後、「暴れました」と照れくさそうに笑った。(白見はる菜)

自分が決めてやる 安井 大貴君

 サヨナラ安打を放った安井君は、後輩の水谷君の三盗に奮い立っていた。「2年生が気持ちをみせてくれた。3年生の自分が決めてやる」

 勝利後、安井君は集まった選手にもみくちゃにされた。「目標だった100勝を自分のバットでできてうれしい」

 八回表1死一塁では、打球が左翼を守っていた安井君のもとへ。後ろに下がりながらジャンプしたが、打球は頭上を越えた。判定は三塁打だったが、「自分のせいで同点とされた」と悔やんだ。すかさず中堅手の松本君から声がとんだ。「切り替えていこう」

 安井君は「みんなの励ましがあったから打てた」とホッとしていた。(興津洋樹)

八回ピンチ「任せろ」 北村 智紀君

 同点に追いつかれた八回表、なお1死一、三塁のピンチ。北村智紀君がマウンドに上がった。

 先発したエース小寺智也君は一塁手へ。「悪いな。頑張ってくれ」と声をかけられ、「任せろ」と返した。スライダーと直球を低めに集め、後続を三振と遊ゴロに仕留めた。叫びながらベンチに戻り、仲間とグラブタッチを交わした。

 9歳上と5歳上の兄はサッカー少年だった。北村君は野球を選んだ。保育園のときから、元高校球児の父親の清昭さん(57)と祖父の3人でプロ野球を見るのが好きだった。小学3年から入った軟式チームで投手になった。

 応援席で見守った清昭さんは「本当は兄2人にも野球をしてほしかった。智紀が年長のときに『野球すんねん』と言ってくれたときはうれしかったなあ。甲子園で投げるのを見て涙が出そうになった」と話す。

 北村君は九回も無失点に抑えた。「野球を選んで続けてきてよかった」(川村貴大)

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