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 13日の第2試合に登場した佐久長聖(長野)には、好機にアルプススタンドから流れる応援曲がある。勇壮な曲調の「ウィニング」と「ヴィクトリー」。かつて甲子園をにぎわせたPL学園(大阪)のオリジナル曲を伝承している。

 これらの曲は、PL学園が桑田・清原の「KKコンビ」の活躍で全国制覇した67回大会(1985年)や横浜(東神奈川)と延長十七回を戦った80回大会(98年)でも演奏され、当時の名勝負を彩ってきた。

 佐久長聖が演奏するようになったきっかけは、部員の粋な提案だった。藤原弘介(こうすけ)監督(44)と岸田健人コーチ(27)はともにPL学園出身。2016年の長野大会前にPL学園野球部がその夏限りで休部することを知った部員らが「伝統を継承したい」と申し出て、吹奏楽部に演奏を頼んだ。

 だが、オリジナル曲のために楽譜がない。吹奏楽部顧問の小林通宏(みちひろ)さん(43)がネット上などの音源を聴いて譜面に書き起こした。長野大会でお披露目すると、「不思議と点が入った」。チームは応援の勢いそのままに勝ち上がり、同年、2年ぶりに優勝した。

 甲子園出場を機に、小林さんは演奏の許可をもらおうとPL学園に連絡した。すると、「今は演奏されることのない曲。せっかくなので演奏してほしい」と、学園側からオリジナルの楽譜が贈られたという。

 今年は長野大会と吹奏楽コンクールの日程が重なり、吹奏楽部は6日の旭川大(北北海道)戦で今夏初めて応援演奏をした。試合は大会史上初のタイブレークとなり、延長十四回を制した。藤原監督は「回を追うごとに大きくなる応援に後押ししてもらった。100回大会で母校の応援曲が流れるのは本当にうれしい」と話す。13日の高岡商(富山)との試合も、歴史ある応援曲を背に戦った。(坂東慎一郎)